1:haru ★:2021/10/01(金) 19:18:10.99 ID:89CiqGA+9
ここ数日、中国の不動産大手、恒大集団の経営危機問題について日本でも大きく報道されている。同社の負債額は1兆9700億元(約33兆4000億円)に上り、フィンランドの年間GDPを超えるほどの額であるといわれている。そのため、世界の主な金融市場で株価が一時急落した。当然のことながら、中国国内ではこの話題が大きな関心を集め、SNSでさまざまな意見が飛び交っている。
不動産は、常に中国人の生活の中心である。中国人民銀行の調査によれば、都市部に住む世帯の住宅保有率は96%に上るという。多くの中国人は、持ち家にこだわり、その方が「安心」だと考えている。それだけに、多くの人が今回の経営危機騒動に高い関心を持って、行く末を見守っている。
急速な経済成長を遂げた中国。これに伴い、都市部への人口流入が活発化した。そうした影響が、都市部の不動産価格を押し上げている。
20年前に500万円で買ったマンションが、今では1億円を超えているというケースも決して珍しくない。20倍の価格上昇である。
今、北京や上海などの都会では、築20年以上のボロボロのマンションでも1億円は下らない。ほかの投資手段に比べて、不動産投資はお金持ちになる一番近道であることを歴史がはっきりと証明しているのだ。
また、投資手段としてだけではなく、「持ち家があること」は中国人にとって一種のステータスだといえる。中国では「1人が家を買うため、6人のポケットからお金を出す」という言葉がある。
つまり、我が子が家を買うために両親と祖父母6人から資金を出し合うのだ。家を買うというのは、それくらい、一家の一大イベントなのである。結婚の際は男性が持ち家を用意する習慣があり、お見合いの場では、まず「マンションを持っているか?」と質問される。
「持ち家信仰」が今も根強い中国では、マンションを持つことが多くの若者にとって一生をかけての夢である。住宅価格が平均年収の40倍を超えるほどに達していようとも、無理をしてローンを組み、家を買うのだ。「房奴」(住宅ローンの奴隷)という言葉が誕生するなど、不動産にかかる費用は中国で生活する上で非常に大きな重荷となっている。
不動産価格の高騰により物件が買えずに苦しんでいる人がいるだけでなく、すでに買った人も、もし失業してローンの返済ができなくなったら……と強い危機感を抱く。また、不動産を何戸も持っている人は、バブルが崩壊し資産価値が一気に下がることを懸念している。このように、中国では多くの人が不動産に翻弄されてしまっているのが実情だ。
また、「マンションを買う」までも一苦労なのだが、買ったからといって安心できるわけではない。買ってからもまた、大変なのだ。中国の新築マンションは、一部を除き、内装工事が施されていない状態での引き渡しが一般的となっている。
内装は、契約者自らホームセンターで建材を購入し、施工業者(地方からの出稼ぎ労働者が多い)に工事を依頼する。その上、自分自身が現場監督を務めなければならないのだ。これは施工業者が手抜き工事をしたり、建材を横領したりすることがないように監視するためだ。
そんなこんなで、ようやく家の内装が終わってめでたく新居に入居しても、なかなかくつろぐことができないというケースも多々ある。
隣や上下の階で、内装工事による騒音が昼夜を問わず鳴り響くのだ。
今年5月、あるニュースが人々に衝撃を与えた。イノベーション先進都市として世界でも注目され、中国国内でも不動産価格の上昇がとりわけ著しい深センでの出来事だ。深センの南山地区にある超高級マンション群(1戸の価格2億円以上)で、連日の暴雨により、排せつ物が含まれる汚水が水道の配管を逆流。水を使った住民が、「シャワー後に、体から変な臭いがした。沸かした水を飲むときに異臭がしていた。下痢や湿疹の人が続出している」などと訴えたのだ。
ほとんどの住民が浄水器を使っており、なんとか臭いは抑えられたというが、それでも約1000世帯の住民たちが2カ月間も汚水を薄めた水を生活用水として使っていたと思うとゾッとする。
多くの中国人たちは、「不動産価格は永遠に上がるものだ」という“不動産神話”を信じてきた。今回の騒動により、国民の夢は暗転してしまうのか、あるいはこの局面を乗り越えられるのか。緊張感のある日々が続いている。
2021.10.1 4:40
https://diamond.jp/articles/-/283357
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