1:名無しさん




ヒューズは、電気回路に異常な電流が流れた際に機器を保護するための安全装置です。短絡や過負荷によって過電流が生じると、ヒューズ内部の「ヒューズエレメント」と呼ばれる金属線が加熱され、一定以上の温度に達すると溶けて回路を遮断します。この仕組みにより、機器や配線が過熱や火災といった危険な状態に陥るのを防いでいます。

エレメントには融点の低い金属が用いられており、鉛やスズ、ビスマス、カドミウム、銀、銅などを組み合わせて作られる合金が一般的です。その組成を調整することで、70~100℃程度の融点を持たせることが可能です。ヒューズは電流が流れることで生じるジュール熱を利用し、定格値を超えた電流に対してのみ溶断するよう設計されています。

また、ヒューズが溶けて回路を遮断する瞬間には「アーク」と呼ばれる放電が発生し、これが電源電圧を分担することで一時的に回路全体の電圧が下がります。その結果、異常電流の増加が抑えられる効果があり、これを「限流作用」と呼びます。なお、同じ保護装置であるブレーカーには、この限流作用は備わっていません。

ヒューズの動作特性は、エレメントの材質や太さ、構造によって変わります。つまり、発熱量や熱の蓄積特性(熱時定数)の違いによって、どの程度の過電流でどれくらいの時間で溶断するかが決まるのです。

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