1:名無しさん




この筒の正体は、ずばり「換気塔」です。高度経済成長期の真っ只中である1966年11月に完成しました。外観は緑に覆われており、一見すると役割を終えたかのような「トマソン」にも見えますが、実は現在も地下駐車場などの給排気設備として機能し、新宿西口の地下空間を支え続けています。

この換気塔は、緑に覆われたものを含めて全部で4基存在し、それぞれが新宿西口の地下構造の重要な役割を担っています。その歴史をたどると、明治時代にまで遡ります。

かつて新宿西口には淀橋浄水場があり、東京都民の水瓶として東京の発展に大きく貢献していました。しかし、東京オリンピックの翌年である1965年、浄水機能が東村山浄水場へと引き継がれ、役目を終えることになります。そして、この広大な浄水場跡地の開発が1966年に始まりました。

設計を任されたのは、当時日本建設協会の会長であった坂倉準三でした。彼は、地下改札口を出て歩いているうちに、いつの間にか地上に出ていたという、浄水場跡地特有の地形を活かし、立体的な都市空間を構築しました。その際、地下空間を最大限に有効活用するため、換気の重要性に細心の注意を払い、ロータリーの中心部に換気塔を配置する設計を採用しました。

当初、この構造には「車の流れを阻害する」との反対意見もありました。しかし、坂倉は「地下通路や地下街を活かすためにはこれが最適な策である」として反対を押し切り、現在の形へと至りました。こうして新宿西口の地下空間は、機能的かつ効率的に設計され、今もなおその役割を果たし続けています。

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