フィリピン政府が、日本の小売業の業界団体に対し、バナナの価格引き上げに理解を求める異例の申し入れを行うことがわかった。バナナは店頭価格が過去20年以上ほとんど変わっておらず、卵と並ぶ「物価の優等生」とされる。世界的なインフレで生産や輸送にかかるコストが上昇し、生産者を圧迫しているためだ。
フィリピン政府は8日にも、全国のスーパーや商業施設が加盟する日本小売業協会に要望書を提出する。エネルギー価格の上昇で、肥料価格や燃料費、輸送費用が上昇しており、バナナの生産者は、採算を確保するのが難しくなっているという。
財務省の貿易統計によると、2021年のバナナの輸入量は約110万トンで、日本が輸入する果物で最も多い。このうち、フィリピンからが8割近くを占める。バナナはかつて高級品として扱われた時代もあった。現在、東京都区部の店頭価格は20年以上、1キロ・グラムあたり200~250円程度で推移している。対照的に国内生産が多いミカンやリンゴは値上がりした。
スーパーでは、割安なのに栄養価が高く、人気のあるバナナを入り口に置いている店が多い。幅広い商品で値上げが相次いでおり、家計の負担になっている。
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