新千歳空港発の日本航空の旅客機と海上保安庁の航空機が衝突した2日の事故は、衝突から18分間で、全379人(乗客367人、乗員12人)が炎上する機体からの避難を完了した。欧米メディアが「奇跡」とも評した18分間の脱出劇を、専門家はどう見るのか。
日本航空516便は羽田空港C滑走路に降りた午後5時47分ごろ、海保機と衝突、炎を上げて約1キロ滑走して停止した。機内に煙が立ちこめる中、9人の客室乗務員は8カ所ある非常口のうち、前方と後方の計3カ所に乗客を誘導した。全員が避難し終えたのは午後6時5分。機体全体はほどなく炎に包まれた。
約30年間、日航に勤務した元客室乗務員の江上いずみ筑波大客員教授は「18分間が長いとは思わない」と評価。さらに「北海道発の便だったことから、ハイヒールの人が少なかった」と分析した。
脱出用シューターを使った避難の際、客室乗務員はシューターを傷つけ、空気が抜ける恐れがあるハイヒールは脱ぐよう指示する。スニーカーやブーツなどを履いた人が多かったことが「スムーズな避難につながった」とみる。
日航によると、同機は8カ所に非常口があったが、そのうち5カ所から炎が見えたため、客室乗務員は使用を断念。機内放送やインターホンが使用不能になり、最後尾の客室乗務員は機長らの指示を受け取れず、自身で状況を判断して脱出用シューターを展開した。江上客員教授は「前のドアしか開けていなかったら(避難の)時間が足りなかったかもしれない」と話す。
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