日本発の国際クレジットカードブランド「JCB」
ロシアに対する欧米各国の経済制裁を受け、世界的なクレジットカード会社であるビザとマスターカードは、ロシア内でのカード事業を全面的に停止している。当初は、ロシア国内の銀行が発行したカードのみだったが、その後、ロシア国外で発行されたものも利用停止とした。その結果、ビザとマスターカードは、ロシア国内では全面停止、国外の金融機関が発行したものだけが国外で使える、という状況となった。
実は、ロシアのキャッシュレス決済比率は高い。『日本のクレジット統計』(日本クレジット協会)によると、2019年時点の民間最終消費支出に占める割合は47.0%で、日本の26.9%を大きく上回っている。カードの利用停止は、ロシアの富裕層の利用を阻止する効果が大きいと言われているが、他の大手カードや、アップル・ペイ、グーグル・ペイといった決済手段も停止されているので、市民の日常生活にも大きな影響が及んでいると推測される。
クリミア制裁を受け独自の国際ブランド育成へ
こうした事態には、一部のロシア国民はデジャブを覚えているだろう。2014年3月に、ロシアによるウクライナのクリミアの併合で金融制裁が科せられ、国内銀行が発行した一部のクレジットカードが、今回同様、国外で利用できなくなったのだ。
事態を重く見たプーチン大統領は、日本のJCBカードや中国の銀聯(ぎんれん)カードを例として挙げ、国内外で決済ができるロシア独自のシステムを開発するように指示した、とされる。当時、JCBカードと銀聯カードは、ビザやマスターカードと並ぶ国際ブランドだったからだ。
クレジットカードの表面には、カードのブランドとなるロゴマークが付いている。そして、世界中に加盟店があり、海外でも使えるカードのブランドを国際ブランドと呼ぶ。現在、国際ブランドは、ビザとマスターカード、JCB、アメリカンエクスプレス、ダイナースクラブ、銀聯カード、ディスカバーカードの7つを数えるだけ。JCBと銀聯カードを除くと、いずれも米国系である。
プーチンがJCBと銀聯カードを持ち上げたのは、非米国系であることも大きな要因だっただろう。ロシアの国営テレビでは、何度もJCBを紹介する番組を放送したと報じられている。
https://friday.kodansha.co.jp/article/237032
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