<アメリカの治安はそもそもよくないが、実は、ロックダウンやBLM運動を機に荒廃が加速している>
「道で寝ているホームレスを追い払い、汚物を片付けるのが朝の開店前の日課。もう嫌になるよ」と嘆くのは、シアトル中心街にある店の店員だ。
水と緑の都「エメラルドシティ」とうたわれたシアトルの街に、以前の美しい面影は跡形もない。ホームレスがたむろし、汚物やゴミが道端に散乱。彼らが歩行者に付きまとって叫んだり、路上での暴行、銃撃事件が後を絶たず、荒廃の一途をたどっている。
日本に比べ、民間人が3億9000万丁もの銃を所有するアメリカの治安がそもそもよくないことは、広く知られている。どの都市にも観光客は足を踏み入れるべきでない危険な地区が存在すると言われる。
だがコロナ禍以降、シアトルに限らず、都市部の荒廃は一層加速した。<中略>
2020年に犯罪被害額が増加した都市のワースト3は、シアトル、ニューオーリンズ、シカゴだ。それぞれ前年比42%、40%、29%増となった。
シアトルに本社を構えるアマゾンも独自の警備員を配置しているものの、治安の悪化を理由に今年3月、シアトル中心街にあるオフィス1カ所の一時閉鎖に踏み切った。
こうした事態を重く受け止め、今年1月に就任したブルース・ハレル新市長はホームレスの一掃にさらに強力に取り組んでいるが、根本的な解決には至っていない。
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