ずいぶん前、知り合いのライターから「戸をほとほと叩く」という表現を東大出の若い編集者から「いやだなあ。戸はトントンとかドンドン叩くんでしょ」と笑われたという話を聞いて、自分が知らない表現が提示されたらちゃんと辞書で調べようと思ったことでした。
— 豊崎由美@とんちゃん (@toyozakishatyou) September 26, 2025
勝手に作っちゃいけないんですかね。「戸をしょんしょんと叩く」とか。それとも、マンガの世界で滝田ゆう氏や田村信氏が創意を発揮した擬音と違って、文章世界では一定の先例に従うような慣習があるのでしょうか。
— nakas17 (@nakas171) September 26, 2025
わたしはいいと思ってます。日本はオノマトペの帝国ですから。
— 豊崎由美@とんちゃん (@toyozakishatyou) September 26, 2025
日夏耿之介訳のポオ「大鴉」で知りました
— 高原英理 (@ellitic) September 26, 2025
この房屋(へや)の扉(と)をほとほとと
ひとありて剝啄(はくたく)の声あるごとく
この頃(大正から昭和・戦前)の詩には知らない表現が満載で、なんか深い森を分け行くようでした
個人的に「戸をほとほと叩く」は、人間じゃない者が戸を叩いてるイメージ。
— ボンヤリーナ (@bon_yari_ico) September 26, 2025
民話で、狐とかウサギとかが毛のある手でノックしてる感じ。肉球が柔らかいから人間みたいにコツコツ鳴らない。
それか、物質として存在しない者が叩いてて、だからはっきりした音がならない感じ。
あと場面は夜。
川上弘美さんの『センセイの鞄』で、ほとほとと、叩いてますね。なるほど、こういうときに「ほとほとと」叩くのか、と思った。最近朗読したばかりなので。
— 北野勇作100 (@kitanoyu100) September 26, 2025
普段からある程度本を読んでいて教養のありそうな人が、自分の知らない表現を使うと「初めて聞いたけど、そんな言葉もあるのか」とは思いますが、「そんなおかしな言葉は無い」って断言できるなんてずいぶん傲慢な編集者ですよね。
— 仕事人 (@3x8Cp2MXfLyflOu) September 26, 2025
辞書を引くと、川端康成や平安中期の拾遺和歌集の用例もあったので、かなり古くからの語ですね。
— chaoi (@PicardPythin) September 26, 2025
>ほとほと叩く
— オヒョウ@2025=漫画754/文字本630 (@griffons_11) September 26, 2025
『ドグラ・マグラ』にもある表現ですね。 pic.twitter.com/7tbuJBJ5oS
おすすめから失礼します
— 櫂 (@oym0fd) September 26, 2025
杉浦日向子さんの漫画『百日紅』に、人間の姿にやつしたカワウソが戸をほとほと叩いていました
先日聞いた講談でも「ほとほと」と表現してました。
— スーパーカブ2 (@2LXFfzRlUD16061) September 26, 2025
戸つながりで、良く行く古書店さんの戸を一生懸命押したり引っ張ったりしているお客様。そこは横に引くのです。
ほとほと、と聞こえるような戸が今ではなくなってしまったから、その表現も廃れていくのでしょうね
— 方寸 (@sakaguchiangono) September 26, 2025
聞いたことの無い表現でも、作家はその言葉を選んだのだから、十分に尊重されるべき。新しい言葉の誕生かもしれない。
— ガン (@chan_gan) September 26, 2025
ほとほと叩く…
— りり (@marrone_et_lily) September 27, 2025
お恥ずかしながら、初めて触れる表現でした。すぐに調べて、戸を叩く表現ひとつとっても豊かにあるものだなぁと改めて日本語の美しさを感じました。
勉強になりました。
ありがとうございました。
「戸をほとほと叩く」好きな表現です。木の戸で、隙間があることで、叩いて扉が少し揺れる時の雰囲気が表現されていると思うんですよ(早口)
— pekomarun (@pekomarun2016) September 27, 2025
「ほとほと叩く」と書いてあれば、木の戸板のイメージ。ドアでは無い気がする。「ほとほと」の四文字で「夜人々が寝静まった頃、辺りを憚って小さな音で訪いを入れる。現代の話ではないかもしれない」まで想像させるってすごい。時代劇が少なくなった今ではイメージするのが難しいのかも。
— hiyoko (@hiyoko196059181) September 27, 2025
ほとほと…初めて聞きました。きれいな表現です。
— 文月 (@IAavWDBGKleZS5V) September 26, 2025
擬音というより叩く様子に重心をおく感じかなあ
鳥山石燕か水木しげるが書いた妖怪のカワウソの説明文に、「夜中にほとほとと人家の戸を叩く…」というような記載があったので、私の中ではカワウソの肉球のある小さな手で戸をたたくような音のイメージです。
— しろくま (@2LMb4r3AKI88387) September 26, 2025
そういえば昔ある業界誌の仕事で「依代」という言葉を使ったら「そんな言葉はありませ」んと編集者に言われた「広辞苑に載っていません」と言われたのだけど本当?読み方がわからなくて探せなかったんじゃないか?と疑っています。 https://t.co/sVcHt1efaz
— あんとに庵 (@antonianjp) September 26, 2025
この発言にみなさまざわざわしているので、前提を話しますと、30年以上前の土木系業界誌で、編集は戦前生まれの理系おじさん(たぶん天下り?)文系の知識はなさそう。
— あんとに庵 (@antonianjp) September 27, 2025
そしておじさんの名誉もかねて当時使用していたと思われる広辞苑の2版を調べたら。。。。
「依代」がない!!!!?? pic.twitter.com/SEH1s8tGKP
古い広辞苑には「依代」という単語はなく、しかしそれ以外のあんまり使用しない単語は掲載されているので、「依代」という言葉自体が新しいのか、広辞苑の編集が宗教用語に弱かったのか、謎が深まりました。
— あんとに庵 (@antonianjp) September 27, 2025
いやぁ、1980年代ごろのエピソードなんですけど、私は個人的に「依代」は普通に使用していたので、いったいどうなってるんだ?と思います。
— あんとに庵 (@antonianjp) September 27, 2025
荒俣宏をを社内で飼っていた平凡社の編集なら絶対に知っていただろうな。
— あんとに庵 (@antonianjp) September 27, 2025
とはいえこの言葉が採択されなかった背景に、もしかしたら民俗学的事情があるのだろうか?と更なる謎が。
現行ので検索
— R☆AKI (@hirlos) September 27, 2025
大辞林4.0【依▽り代・憑▼代】
広辞苑第7版【依代・憑代】
で、広辞苑には載ってますが、大辞林だと送り仮名付きになってますね。
7版!!欲しい。。。
— あんとに庵 (@antonianjp) September 27, 2025
大辞林もありがとうございます。
この辺りの表記のブレでも新しい(といっても戦前のようですが)言葉だったのかもです。
専門用語みたいなのって割と載ってないですからね。別に広辞苑に載ってるかどうかで言葉の有無は決まらないですし。
— dg (@udonkakkokari) September 27, 2025
そう思いますが、この広辞苑、絶対専門用語だよね??っていうもっと知らない言葉もたくさん出ているので言葉の取捨選択が謎ですね。
— あんとに庵 (@antonianjp) September 27, 2025
版を重ねてのちは掲載されているようですので、辞典編集も大変なのだなと改めて思いました。
同じ流れかなあ、昔数冊出て廃刊になったビデオアニメ誌で紹介記事書いてたときに、アニメータの女性名に氏をつけて書いたら、編集から女史だろ!間違い!って詰められて仕方なく直した事があった。あの頃は頭固いなあって思ってたけど、今じゃ女性も氏付けで通しますね。
— ばんりたかひろ(ぱりん)(自称短歌作家) (@chinkotori_fake) September 27, 2025