1:名無しさん




 1963年に創設された和歌山県立美術館を前身とし、1971年には和歌山県教育委員会所管に属する公立博物館として和歌山城二の丸跡に設立され、1994年に現在の地に和歌山県立近代美術館とともに開館しました。

一見すると美術館と博物館は別棟のようですが、地下部分や設備の共用がなされ一体的な建物となっています。外観は円弧のカーブを描きながらも障子の組子を思わせるようなカーテンウォールが印象的。その内部にあるアトリウム空間も外部と程よい繋がりがあるように思えます。またカーテンウォールに突入する連絡通路などは現代的な雰囲気で、この博物館でも現代と伝統の融合というものが垣間見えるような気がします。屋根は薄く設計され、先端の尖った部分と美術館の庇がとても調和しているように見えます。

 開放的な気持ちの良いアトリウムに入って展示ゾーンを進みます。1階は常設展と企画展。常設展「きのくにの歩み-人々の生活と文化-」は和歌山県の3万年の歴史を紹介し、企画展は年間5~6本が年度計画により開催されているようです。2階は臨時展が行われており、取材時は狂言で使われる仮面(紀州東照宮所蔵)のレプリカが置かれていました。3Dスキャナーと3Dプリンターで製作されたものが着色を施され、非常にリアルな質感が表現されています。これは目の不自由な方にとって博物館は敷居が高いので触って興味を持ってもらおうという意味合いもあるそうです。また今回もバックヤードを見せていただきました。中でも興味深かったのは文化財保存庫の仕上材料です。部屋全体で調湿機能を持たせるのと文化財に対して“あたり”が柔らかいということで全面的に木材が使用されていました。

 最後になりますが設計に際して重要視されたのが意外な事に駐車場だそうです。来館する方が最初に訪れる場所、そこが良くなくてはという「おもてなし」の心遣いが感じられました。

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