2017年、私は『限界のタワーマンション』(集英社新書)という拙著を世に出した。その原稿を書くにあたって、ヨーロッパの大学院生を中心とした50人ほどの若者に「超高層住宅についてどう考えるか」というアンケート調査をしている。
結論だけを先に言ってしまうと、「タワマンで子育てをしてもいいと考えている」との回答は皆無だった。この結果から類推できることがある。
まず、G7の中でタワマンに関する意識調査をしたとして、「タワマンで子育てすることに抵抗感がない」と答える人が半数以上になる国は、おそらく日本だけなのではないか。
そしておそらく、タワマン的な集合住宅を肯定的に捉えているのは、日本や韓国、中国、シンガポールなどの東アジア圏と、ドバイなどの成金的新興国のみなのではないか、という点だ。
折しも2017年の6月、イギリスでタワマンの火災が発生した。死者・行方不明が70人という大きな事件。日本のテレビでも大々的に取り上げられた。私もいくつかの番組にコメントを求められた覚えがある。
あの時、情報番組に出演していたコメンテーターたちは、火災が発生したタワマンが低所得者向けの賃貸住宅であるという事実に、明らかに戸惑っていた。日本のタワマンは、賃貸向けであっても低所得者向けということはあり得ないからだ。
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