2021/10/12 11:00
テスラ車で10人が死亡しても一切謝罪せず…イーロン・マスクが超強気を貫く本当の理由
ほかの自動車会社とは根本的に違う
PRESIDENT Online
竹内 一正
経営コンサルタント
テスラの「自動運転」の安全性を巡って、アメリカで議論が起きている。2016年以降にオートパイロット稼働中のテスラ車が少なくとも30件の衝突事故を起こし、10人が死亡しているからだ。テスラCEOのイーロン・マスクはこれまで事故について一度も謝罪していない。経営コンサルタントの竹内一正さんは「その姿勢にはイーロンの一貫した哲学がある」という――。
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運転支援システムなのに「完全自動運転」のような名称
今年8月、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は約80万台のテスラ車に関して、運転支援システムの安全性を調査すると発表した。2018年以降に発生した緊急車両を巻き込んだテスラ車の衝突事故が11件に上り、うち1人が死亡したことを受けての対応だった。
テスラの「オートパイロット」と1万ドル(約110万円)のオプション機能「フル・セルフ・ドライビング(FSD)」はドライバーの監視が必要な「レベル2」に相当する“運転支援システム”だが、名前が完全自動運転であるかのようで紛らわしく、物議を醸していた。
自動運転はレベル0から5までの6段階で表され、レベル2は、ドライバーは常にハンドルに手を置き、運転状況を監視することが求められる。運転主体はあくまでヒトである。これがレベル3になると主体は人からシステム側に移り、そして、レベル5は完全自動運転となる。
NHTSAは緊急車両を巻き込んだケース以外でのテスラ車の衝突事故についても調査を行っており、16年以降でオートパイロット稼働中のテスラ車が少なくとも30件の衝突事故を起こしており、これらの事故で10人が死亡したと報道されている。
テスラのCEOのイーロン・マスクは、度重なる衝突事故が発生しているにもかかわらず、オートパイロット稼働中に起きた事故に対し、一度も謝罪していない。振り返ると、2016年にフロリダ州でオートパイロット稼働中のテスラ車が死亡事故を起こした際は、世間の多くから「オートパイロットを中止しろ」と批判の声が上がった。
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