https://www.sankei.com/article/20220128-UBMOQJRO6NLVLACBWB3ATTATKM/
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、日本に感謝の気持ちを伝えようと、台湾から血中酸素飽和度を測る医療機器「パルスオキシメーター」100台が大津市内で産婦人科医院を営む王輝生(日本名、大田一博)さん(74)を通じ、滋賀県と大津市に寄贈された。王さんはこれまでも台湾の医師団体に呼び掛け、日本にマスクやフェースシールドを届けている。根底には「日本への感謝の気持ちを忘れない」という思いがあるという。
王さんは台湾出身の医師で、日台関係の発展に大きく貢献した故・李登輝元総統とも親交があった。日本での新型コロナ感染拡大以降、マスクなどの支援を台湾に呼びかけ、今回を含めると計9回にわたり、こうした支援を続けている。「日本は台湾が一番困っているときに助けてくれた。在日台湾人として、台湾には日本の良いところを伝えたいし、日本には台湾の良いところを伝えたい」。
「台湾が一番困っているとき」というのは、昨年5月、台湾で新型コロナの感染が急拡大した時期を指す。日本政府はワクチンの確保に難航していた台湾にいちはやくワクチンを供給した。王さんは「これはお礼の一つです」と話す。
新変異株のオミクロン株の拡大に伴って自宅療養者が増加する中、各自治体では自宅療養者らに貸与するパルスオキシメーターの需要が高まっている。パルスオキシメーターは指先に当て、血中酸素飽和度を計測する医療機器。心臓から全身にどれぐらい酸素が運ばれているかが分かるため、重症化の度合いを知る目安となる。王さんは「パルスオキシメーターがあれば、少なくとも命を守ることができるので、活用してほしいと思った」と説明する。
王さんが取り寄せたパルスオキシメーターは台湾製で、1台数万円もする高価なものだ。メーカーによっては数千円のものもあるが、「正確に測ることができるものでなければ意味がない。贈るならいいものでないと」と、
王さんが現地の医師団体「福和会」と相談して選んだという。
寄贈されたパルスオキシメーターは100台のうち50台が大津市保健所へ、残りは県内の保健所へ届けられる予定。市危機・防災対策課の松浦康之課長は「自宅療養者が増え、パルスオキシメーターが足りなくなりつつある中、1台でも多くあればありがたい。感謝している」と話している。