国税局職員はなぜ、給付金詐欺に手を染めたのか? 総額2億円詐取に対し報酬120万円…きっかけは幼なじみか
国の新型コロナウイルス対策の持続化給付金をだまし取ったとして、詐欺容疑で逮捕された東京国税局職員の塚本晃平容疑者(24)らは、国が給付金申請の受け付けを始めた翌月の2020年6月、不正受給を始めたとされる。グループは若者ら約200人の名義で計約2億円を受給した疑いがあるが、塚本容疑者の報酬は120万円にすぎなかったという。(佐藤大)
◆リビングにパソコン2台、モニター6台
塚本容疑者が今年に入って移り住んだ横浜市内のアパート。大家の男性(65)は塚本容疑者から入居直後、「インターネットを高速回線に変えたい」と言われて部屋を訪れたときのことを覚えている。
リビングにはパソコン2台と液晶モニター6台。男性は「株をやっているの?」と尋ねたが、「まあ、そんな感じです」と言葉少な。あまり詮索されたくないのかな、と感じたという。
実はこのとき既に、グループの中心的存在だった大和証券元社員の中峯竜晟りゅうせい被告(27)と元東京国税局職員の中村上総かずさ被告(24)らは、警視庁少年事件課に詐欺容疑で逮捕されていた。
◆小中学校の同級生がきっかけ
捜査関係者によると、塚本容疑者がグループに入るきっかけをつくったのは中村被告。熊本市内の同じ小中学校に通った2人は高校卒業後に上京し、2017年にそろって国税庁に入庁。東京都内のマンションでルームシェアして暮らしていた。
塚本容疑者は19年1月、中村被告の誘いで中峯被告の投資セミナーに参加し、中峯被告の暗号資産(仮想通貨)の投資グループに加わるようになる。
転機は、国がコロナ禍で収入が減少した個人事業主に最大100万円を支援する持続化給付金の申請を受け付け始めた20年5月。中峯被告は、高校生や大学生らの名義で不正に受給できないか考え、中村被告を通じて塚本容疑者に声をかけたという。
捜査関係者は「申請には確定申告が必要で、税務職員に手伝ってもらおうとしたのだろう」と話す。実際、塚本容疑者は自宅で虚偽の確定申告書類を作成していたとされる。
しかし、不正受給の総額が約2億円に上る疑いがあるのに対し、塚本容疑者が得たとされる報酬は120万円程度。中峯、中村両被告ら中心メンバーの報酬はそれぞれ約1000万円で、残りは仮想通貨の事業に投資する名目で、海外に出国した主犯格の30代の男に渡っていたという。
現在も黙秘を続けているとされる塚本容疑者。ある国税関係者は「何か問題がある職員だという話は聞こえていなかったのだが…」と逮捕を残念がった。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/181762
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