産業革命前からの世界の気温上昇を1・5度に抑えるという世界共通目標の実現には、日本を含む主要7カ国(G7)と欧州連合(EU)は2030年までに温室効果ガス排出量を19年比で少なくとも58%削減、35年までに75%削減する必要があるとの報告書を、ドイツに拠点を置く研究機関「クライメート・アナリティクス」が公表した。
イタリア・トリノで30日まで開催されているG7気候・エネルギー・環境相会合は、気候変動対策などが主要議題となっている。
報告書では、G7とEUが掲げる30年までの目標水準は19年比で40~42%で、「不十分」と評価した。また、各国・地域の現在の政策のままでは30年までに19~33%削減にとどまると分析している。
各国・地域は35年を期限とする排出削減目標を来年までに国連に提出することが推奨されている。報告書は野心的な35年目標設定と同時に、30年目標を強化する必要性を強調。途上国はエネルギー転換に時間がかかるため、技術と資金のある先進国が早期に脱炭素を実現し、途上国での削減にも役立つような技術面での波及効果を生み出すことが重要だとした。
また、二酸化炭素(CO2)排出量の多い石炭火力発電については30年まで、ガス火力発電は35年までに段階的に廃止することが必要だと指摘。国連に35年までの排出削減目標を提出する際に、全廃期限を明記するよう求めている。
G7では昨年、化石燃料の段階的廃止に合意したが、その期限は定めていない。報告書執筆者のニール・グラント氏は「G7は脱炭素化に向けた野心的な行動を取り、化石燃料から脱却する期限を設定することが最低限必要だ」とコメントした。
https://mainichi.jp/articles/20240429/k00/00m/100/037000c