熱戦の続いている北京五輪の裏で、サッカー界でも“世界大会”が繰り広げられている。現地時間2月3日にUAEで開幕したFIFAクラブワールドカップだ。
すでに準決勝進出チームが出そろった今大会は、現地時間2月8日に南米王者のパルメイラス(ブラジル)が、アフリカ王者のアル・アハリ(エジプト)を撃破(2-0)。もう片方の決勝進出を巡っては、アジア王者のアル・ヒラル(サウジアラビア)と欧州王者のチェルシー(イングランド)が争う。
そんな各大陸王者の威信をかけた大会に対して、“ある問題”が指摘されている。それは南米王者と欧州王者が優遇されている点だ。前身に当たるトヨタカップで南米と欧州のチャンピオンが対戦していた伝統を重んじ、2005年に大会が現行方式となってからも、該当する2チームは準決勝からの登場となっている。
もっとも、過去の優勝チームは2大陸以外から出ていないため、その実績に基づいたシード方式となっている形ではある。だが、新型コロナウイルスの感染拡大や過密日程などにより、いままで以上に選手起用の難しさを強いられている他大陸の関係者からは「フェアではない」とする訴えが出ているのだ。
アル・アハリを率いる南アフリカ人のピツォ・モシマネ監督は、準決勝を前にした2月7日の会見で、「こうした大会において我々は不利になる」と、クラブワールドカップを主催するFIFAに苦言を呈した。
「我々はしっかりと休んできているパルメイラスと対戦しなければならない。そもそもなぜ我々は、毎年のように準決勝で南米勢と対戦しなければならないのか。そして、なぜ彼らは準決勝からなのか? その基準は何なんだ。我々は政治家ではない。これはサッカーについての話だ。現実に起こっているね。アフリカとヨーロッパを比べても、その在り方は適切ではない」
さらにアル・ヒラルを率いるレオナルド・ジャルディム監督も「不公平だ」と糾弾する。かつてフランスの古豪モナコを率い、ヨーロッパ・サッカーの酸いも甘いも知るポルトガル人指揮官は、こう論じている。
「これはFIFAへの忠告だ。私は8試合で最大4試合も戦わなければならないチームがある一方で、ゆっくり休んで2試合だけ戦うチームもある大会がフェアだと思わない。もっと、アジアやそのほかの大陸のチームが『勝とう』という野心を持てるように日程を考え直すべきなんだ。
今年でいえばチェルシー、その前のリバプールも、彼(欧州王者)らが優勝候補なのは間違いない。だが、彼らが明らかな有利な状態でやってくるのは事実なんだ。我々は2日間しか休まずに同じ24人で戦うのに、ヨーロッパのチームはフレッシュな状態でやってくる。それが意味するものが分かるかい?」
産声を上げてから17年――。各大陸のチームがそれぞれに競争力を高め、サッカー界が発展してきたなかで、クラブワールドカップは、コンペティションの在り方を見直す必要があるのかもしれない。
ザ・ダイジェスト
https://news.yahoo.co.jp/articles/fefbfcb7f05e5b1883ae5c11eadb4ca8ccf8b2d0
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