徐々に筋肉が動かなくなる難病・筋ジストロフィーの患者で、8年前から1人暮らしを続ける羽富拓成さん(39)=さいたま市桜区=が、男性介助者を急募している。今年、病気が進行して寝たきりの状態になり、必要な介助者数が増えたためだ。「人が足りないと始まらない。試しに見学だけでも、興味本位でもいいから来てみて」と呼びかけている。資格、経験は不問。時給1200円から。(谷岡聖史)<中略>
◆32年も1人暮らし 筋ジス病棟の先輩
羽富さんが今後の1人暮らしに不安を抱いていないのは、ある先輩の存在が大きい。虹の会の前会長、故・工藤伸一さん。羽富さんと同じ筋ジス病棟を1989年7月に24歳で退院し、その後寝たきりの状態になり、2021年4月に56歳で亡くなるまで、実に32年もアパートでの暮らしを続けた先駆者だ。
「工藤さんのおかげで、こうすればできる、という土台ができた」と、虹の会の専従職員の外口孝治さん(59)は説明する。長年の工藤さんの1人暮らしの蓄積から、寝たきりでも昼1人、夜2人の介助者がいれば大丈夫だと分かり、以前は昼1人、夜1人だった羽富さんも、同じように夜を2人に増やすことにした。
しかし、これまでに集まった新人は週1回勤務の3人のみ。さらに、以前から週5日勤務していた昼の介助者1人が都合で退職してしまった。1週間に必要な延べ21人のうち、足りているのは12人。増員した夜勤を含む残り9人分は、外口さんのように会の運営も担当する専従職員らが交代で埋める「緊急事態」が、2カ月近く続いている。
◆資格不問 介助者は「お世話とは違う」
介助者とはどんな仕事なのか。「生きていくために必要な、意義のある仕事。だけど、何をするか指示するのは羽富自身」と外口さん。「気を使って先回りする『お世話』とは違う。あくまでも本人の生活なので、それこそ失敗する権利もある」
工藤さんの晩年に介助者を4年務め、その後は専従職員として働く新崎裕之さん(40)は「たんの吸引など最初は不安だったけど、やりながら覚え、気づけば長く続けていた」と振り返る。
勤務回数や時間は、最少で週1回(8時間)から可能。週40時間のフルタイムで働ける人を特に求めている。
時間帯は、①昼(午前9時~午後5時)、②泊まり(午後3時~翌朝7時)、③泊まり(午後7時~翌朝11時)の3種類。
時給1200円から。フルタイムの場合は月給換算で21万円から。
応募は資格不要。採用後、たん吸引などの研修がある。
虹の会事務局長で、自身も介助者を使いながら電動車いすで1人暮らしする加納友恵さん(47)は「介助者がいれば、羽富は今まで通りに生活していける。障害者と言ってもただの一般人。言われたことをやる、という感覚で来てもらえたら」と応募を待っている。
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/253139
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