昨今、運送業界のトラックドライバーは、深刻な人手不足にある。国土交通省の資料によると、令和元年8月における他産業全体の有効求人倍率が1.44倍だったのに対し、トラックドライバーはその約2倍の2.79倍となった。
そんな状況に対し、国や運送業界、各企業ではドライバーの人材確保のために様々な取り組みや対策を講じている。その中でここ数年、運送業界から「我々も技能実習生や特定技能に当たる外国人を受け入れたい」といった声が聞こえてくるようになった。
実際、2020年、全日本トラック協会は、外国人労働者の活用に向け、運転、荷役、検品などの専門性の高い作業を包含した一連の作業を総合的に考慮した業務として、「技能実習2号移行対象職種」となるよう、自民党外国人労働者等特別委員会等(委員長・片山さつき参院議員)に対し要望。これに対し同委員会が、「特定技能」への資格変更を念頭にトラックドライバーを「技能実習生」へ追加するよう求める提言案を大筋合意するという動きがあった。
しかし、外国人労働者とトラックドライバーの現場を長年同時に見てきた立場から考察すると、トラックドライバー職における人手不足問題の打開策として外国人技能実習生を受け入れることは、日本の運送の「終わりの始まり」になると危惧している。
運送業界だけではない。今後、世界における日本そのものの立ち位置にも大きな影響を受ける可能性がある。<中略>
2.日本人ドライバーの労働環境のさらなる悪化
トラックドライバー職への外国人受け入れによってもう1つ考えられるのは、「現役ドライバーの労働環境のさらなる悪化」だ。先に「終わりの始まり」とした根拠はここにある。
現在、現役で走っているトラックドライバーの労働環境が過酷であることは、過去にも多く紹介してきた。
中でも問題なのが「低賃金」である。
大型トラックドライバーの場合、年間労働時間が全産業平均と比べて432時間も長いにもかかわらず、年間所得は約7%も低い。
そんな状況の中、物価水準が日本より低い外国から労働者が参入すると、現役ドライバーには所属する運送企業から「外国人がこんなに安く働いているのだから日本人も安く働け」、また、その運送企業には荷主や元請から「外国人を雇い始めたのならば、もっと運賃減らせるだろう」というプレッシャーが発生する可能性があるのだ。
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https://news.yahoo.co.jp/byline/hashimotoaiki/20220131-00279771
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