1:名無しさん




・参考

ロンドンのバス停では、複数の路線バスが同じ場所に停車するため、多くの人がひとつのバス停で待っています。目的のバスが来ると、それに乗る人たちがわらわらと集まり、自然と乗車口に列ができます。一見バラバラに立っているように見える人たちも、どうやら誰が先に来ていたかをお互いにしっかり覚えているようで、驚くほどスムーズに到着順で乗車していきます。

その光景を目の当たりにして、私はこの「見えない列」のルールにちゃんと従えるかどうか、内心ドキドキしていました。けれど、私が乗ろうとしたとき、その場にいたのはわずか5人。自分が何番目に来たのか確信が持てなかった私は、念のため一番後ろに並ぼうとしました。すると、スーツ姿の男性が「お先にどうぞ」と譲ってくれたのです。その結果、私は4番目に乗車しました。彼が私の到着が自分より早かったと覚えていたのか、それともレディーファーストの精神だったのか——今でもその理由は分かりません。

イギリス人が列を作る習慣には、歴史的な背景があります。産業革命期に形成された社会構造の中で「順番を守る」意識が育ち、さらに、第二次世界大戦中の配給制度のもとでは「英国人は忍耐強く、公正で礼儀正しい」という国民像が政府によって強調され、人々の間に深く根づいていったとも言われています。

この「列を守る」文化がとりわけ重要とされるのが、パブのカウンターです。混み合うパブでは、注文の順番は店員よりも客同士がしっかり把握しておくもの。見えない列にきちんと並ばないと、マナー知らずとみなされかねません。もし自分の順番が分からないときは、周囲の人に「次はあなたですか?」と一声かけるのがイギリス流の礼儀です。

https://www.news-digest.co.uk/news/columns/gap/21651-queue.html