1:名無しさん




 第二次世界大戦以降、日本は投資家にとって世界の安全な資産の避難先(セーフヘイブン)という評価を確立してきた。その背景には、幅広い支持基盤を持ち、世界で最も成功した政党の一つが率いる合意形成型の政治システムがある。今やその中核が揺らぎ、長年日本を支えてきたあらゆる前提が問われている。

 20日に行われた参議院選挙では、与党・自由民主党が野党に敗北を喫した。この20年余り経験したことのない物価高への不満が野党躍進の原動力となった。

 中でも注目を集めたのが「日本人ファースト」を掲げる右派ポピュリズム政党の参政党だ。行き過ぎた外国人の受け入れや同性婚に批判的な立場を取り、核武装の是非というこれまでタブー視されてきたテーマにまで踏み込んだ。

 参政党は依然小さな政党にすぎない。ただ、自民党を中心とした政権が1955年の結党以来初めて衆参両院で過半数を割り込んだことを受け、党内では石破茂首相の退陣と右寄りの政策を求める声が高まっている。今週、トランプ米大統領との関税交渉で予想を上回る成果を上げた石破首相は、政権の生き残りを賭けた戦いに入っている。

 今回の参院選で落選した自民党の佐藤正久氏は、政治の主導権を維持するためには、より強力なナショナリズムを訴えることに加え、食料品やガソリンなど生活必需品の値下げを打ち出す必要があると指摘。2007年に初当選し、外務副大臣などを務めた同氏は、参政党の台頭に対抗するには、安倍晋三元首相が掲げた「日本を取り戻す」というビジョンに立ち返ることが有効だとの見解を示した。

 佐藤氏は24日、落選を受けて関係者が事務所の整理をする中、「30年間、なかなか日本の暮らしが良くならないという部分の責任は与党にある」と語った。その上で、「日本を取り戻すという観点から、もう一回リベラルではなくて保守的な人間をトップにしないと、どんどん自民党がリベラルになってしまう」と危機感を示した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-07-25/SZXEG1GPFHQ500