一晩で600ミリ弱の豪雨 岩手・岩泉小本、住宅浸水や道路冠水相次ぐ「台風10号よりすさまじかった」
台風7号からの暖かく湿った空気が三陸付近に停滞する前線に流れ込んだ影響などで、岩手県岩泉町小本は13日夕方から14日朝にかけて局地的な大雨となり、600ミリ近い降水量を観測した。
13日午後5時から14日午前1時までの8時間は猛烈に降り続き、516ミリを記録。13日午後4時からいったんやんだ午前6時までの降水量は574・5ミリで、年平均雨量(1450ミリ)の約4割に達した。1時間降水量の最大は124・5ミリで観測史上1位となった。
小本津波防災センターに一時、11世帯24人が避難。床上1棟、床下3棟の浸水被害が確認された。国道45号をはじめ地区内の道路は土砂流入や冠水で通行止めが相次いだ。
同じ時間帯(13日午後4時~14日午前6時)の周辺の降水量は岩泉73・5ミリ、普代164・5ミリ、宮古21ミリだった。盛岡地方気象台の担当者は「三陸付近に停滞する前線や台風からの暖かく湿った空気の影響で、強い雨雲が局地的に入り続けた。記録的な大雨でもっと大きな被害が出る恐れもあった」と説明した。
岩泉町で26人が犠牲となった2016年の台風10号では町内(岩泉)の総降水量が285・5ミリ、1時間最大は70・5ミリだった。
降りやまぬ雨に住民は眠れぬ一夜を過ごした。自宅近くの道路に土砂が流れ込んだ農業三浦浩子さん(68)は「避難所まで移動したらかえって危ないと考え、裏山から最も遠い部屋にいた」と話した。
避難所開設のため13日午後7時ごろ防災センターに駆け付けた浦場多美男支所長は「車を降りた瞬間に全身ずぶぬれになった。バケツをひっくり返すどころではなく、降り方は台風10号豪雨よりすさまじかった」と振り返った。
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