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議会のメディア・通信委員会は5日、「必要な燃料と交換部品を賄えるようにするため、追加の与信枠をオゲロに解放する」ことで合意した。(AFP通信/資料写真)
レバノンの通信・インターネット部門は数日以内に崩壊する可能性
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・ドルの為替レートは1507レバノンポンドから1万6000レバノンポンドまで幅がある。国民は24時間365日機能する政府を必要としていると、議員は語る
ナジャ・フーサリ
ベイルート:レバノンの通信・インターネット部門は、燃料不足により数日以内に崩壊する可能性があると、国民議会の委員会が5日、警鐘を鳴らした。
国民議会のメディア・通信委員会は、次のように発表した。「レバノンの国有携帯電話会社タッチとアルファ、固定電話と固定インターネット回線を運営する国営通信会社のオゲロのディーゼルの量は、数日間だけの稼働には十分だが、それ以上の場合、通信サービスは崩壊することになる」。
レバノンの通信会社は、金融・経済危機により危機に直面している産業・機関の長いリストに加わった。
レバノン電力は、ここ数ヶ月、特にディーゼルに対する政府の補助金が解除されて以降、施設や家庭向けの電力を確保できなくなっている。その結果、米ドルで設定されているディーゼルの価格は2倍になった。
インターネットを含む通信サービスは、この数ヶ月、複数の地域で断続的に停止している。
同委員会の委員長を務めるフセイン・ハッジ・ハッサン議員は、次のように述べた。「ジレンマは、ディーゼルの確保ができないことだけではなく、価格が法外になってしまった交換部品を購入できないこともある。加えて、レバノンの通信ネットワークを狙った窃盗も発生しており、盗まれた交換部品や送電塔がネット上で販売されていることもある」。
「石油施設からディーゼルを調達しているタッチやアルファは、ドルでその支払いをしなければならなくなっているため、政府機関でもドルでの支払いが求められるようになっている。これは複雑です。企業は市場からドルで購入する権利を持っていないため、コストが上がり、このような外貨も利用できないからだ」。
石油総局は9月、輸入を自由化した後、ディーゼルの販売価格を石油施設に限り1トン当たり549ドルに設定することを決めた。
為替レートの規制当局はないため、レバノンは結局4つに分かれ、商業銀行では1ドル3900レバノンポンド、中央銀行のセーラファ・プラットフォームでは1万4000レバノンポンド、闇市場では約1万6000レバノンポンドとなり、一方の公式レートは1ドル1507レバノンポンドのままとなっている。
国はもはやディーゼルの販売を管理しておらず、レバノンポンドのみを扱う機関がディーゼルを購入できるようにする仕組みを整えられていない。
委員会は5日、「必要な燃料と交換部品を賄えるようにするため、2021年度予算で3500億レバノンポンドの金額の追加の与信枠をオゲロに解放する」ことで合意した。
ジョニー・コーム通信相は、6日にこの問題を内閣に提起する見込みだ。
委員会は、政府が「通信省、タッチ、アルファ、オゲロ、石油施設の間で、必要な量のディーゼルをレバノンポンドで提供する明確な仕組み」を作ることを希望した。
オゲロのイマド・クレイディエ会長は、同社のセンターにディーゼルが提供されなければ、レバノンのインターネット・サービスは停止されるだろうと述べた。
委員会委員のロラ・アル・タバシュ議員は、アラブニュースに次のように語った。「通信ネットワークの発電機用のディーゼルが供給されなければ、レバノンの全てを麻痺させ、世界から孤立させる新たな危機に我々は陥るだろう。何年にも及ぶエネルギー省の政策が、電力を確保できないこのような状況につながった。自らを独立した行政機関と考えている石油総局は、価格をドルで設定しており、国はドルで購入できないのだ」。
「各省庁はそれぞれ独自に動いている。このような行動では、国が前に進む後押しはできない。我々には、24時間365日機能し、統合型の経済計画に従う政府が必要だ。医療・教育部門の崩壊後、通信分野がこれに続くのか?国民がこのようなことに耐えられるとは思えない」。