600人採用すると40億円入るカラクリ
入手した経営計画書の初版には、兼重宏行社長(当時)のサインの上に「ビッグモーターの最高の商品は、社員です。」とある。言葉だけを見れば、「何よりも社員を大事にし、その社員を最高のものにするための経営計画書」と受け取れるが、この経営計画書が作られるようになった’05年ごろから、会社の売り上げアップのために、採用した新入社員を利用しているようにも見える実態が判明した。
ビッグモーターを古くから知る関係者からもらったメールには、新卒の学生を大量に採用し、しかし短期間で退職してしまう、その一連のプロセスに、社員が利用されている実情が書かれていた。要約するとこうなる。
<社員数は約5000名ですが、その陰にはおよそ4万人近い退職者の存在があります。数字を残せる人だけが残っていきます。生命保険会社も似たような仕組みですよね。ある程度、誰でも入社でき、自分や家族、友人を生命保険に加入させて、それ以上契約を取れなくなったら自然に辞め、数字を残せる人だけが残っていく…。
ビッグモーターが若い未経験者を積極的に採用するのは『素直に会社の方針に従ってくれる人』という理由も大きいでしょう。かなり特殊な職場環境ですから。言い方は悪いけど、経験のない若者は無垢で洗脳しやすいんですよ。
入社すると半ば強制的にビッグモーターで車を購入しないといけません。しかも120回ローンなど非常に長期間のローンを組まされます。車購入に関して社員割引などは一切ありません。金利が一般客9.9%のところ半分の4.9%になりますが、新入社員の中には9.9%の高金利で組まされている人もいました。
保険に関しても、初めて車を買う無知な若者を相手に車両保険はもちろん、諸々の条件で保険料が高くなる保険を組ませていました。もちろん、ビッグモーターが代理店となっている保険会社の保険に加入させるんです>
大量に採用して大量に辞めさせるのは、高い車を買わせて120回ローン(10年間)を組ませ、ビッグモーターが扱う任意保険に入らせるため。とりわけ、新入社員は車を購入する際のローンの知識が薄く、一般客と同じ10年という長期ローンを組まされてもその異常さに気づかないケースが大半なので、ただ月々の返済額のみ伝えられるような状況だったという。通常、新卒で500万円の高額ローンの審査には通りにくいが、そこは、ビッグモーターと信販会社の間で長年培われた強い関係性によって、相当緩く設定されていたようだ。
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https://friday.kodansha.co.jp/article/325931
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