キヤノンの中国デジカメ工場撤退に賞賛の嵐、地元を大切にする企業DNAとは
かと言って、撤退する外資系企業に心底から称賛の拍手を送る例は極めて少ない。そんな状況下、1月中旬に意外な事件が発生した。
● 撤退するキヤノンに中国国内から称賛の嵐
春節(旧正月)が近づく1月12日、日本流に言えば、中国版師走にあたる慌ただしい時期に、キヤノンが広東省珠海市にあるコンパクトデジタルカメラの生産拠点を閉鎖することが、明らかになった。信じられないことに、この撤退のニュースはあっという間に、中国のSNSウィーチャットや微博、さらに動画系のSNSで、大きな話題になり、キヤノンを称賛する嵐が巻き起こった。それには理由がある。
1990年に設立された現地法人の「佳能珠海(キヤノン珠海)」は、最盛期に1万人以上の従業員を抱えた、キヤノンのコンパクトデジタルカメラ製造のメインの工場だった。しかしスマートフォンの普及でコンパクトデジカメのシェアは下り坂を転げ落ちる一方だ。撤退は逆らえない時代の流れだろう。
しかし、中国の労務関連の法律では、従業員を雇用側の都合で解雇する場合、その勤務年限に応じた補償金を従業員に支払う必要がある。基本的な計算は、1年勤務したら給与1カ月分など最大12カ月分を支払うべきだと定めている。32年間の歴史を持つキヤノン珠海はこうした上限を定めず、さらに1カ月分の月給を上乗せして補償金として支給すると決めた。さらに、中国人ネットユーザーの心の琴線に触れたのは、春節の慰労金も全員に支払うということだ。
中国の法律の規定を大幅に上回る経済補償金と慰労金を支払うため、「これこそ、従業員を大切にする企業だ。日本の企業文化を中国企業もしっかりと見習うべきだ」という声が目立っているのだ。
日本のメディアも、「従業員に十分な補償ができるタイミングで撤退することが、14億人規模の巨大市場を持つ中国でブランドイメージを守ることにつながる」という北京の日系企業幹部のコメントを取り上げ、好意的に報道している(西日本新聞)。
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