1:名無しさん




真田幸村の象徴といえば、家紋である「六文銭」の旗印が広く知られています。六文銭とは、死者が三途の川を渡る際の渡し賃として、棺に納められるものでした。かつての人々は、死後に赴く六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上)に対して深い信仰と意識を持っており、「六文の銭を携えさせることで、亡き人が清らかに成仏できる」と信じられていたのです。現在でも、この風習は紙に印刷された六文銭として葬儀の一部に残っています。

真田幸村の家紋が「不惜身命の六文銭」と呼ばれるのは、こうした死生観を戦国武将としての覚悟と結びつけたためです。戦場での命のやり取りはもちろん、日常においても「命を惜しまず生き抜く」という決意を、この六文銭に託していたと言われます。

平成6年、元横綱・貴乃花関が横綱昇進時の口上で「相撲道に不惜身命を貫く所存です」と述べたことも話題となりました。この言葉は俳優・緒形拳氏から授けられたものだと貴乃花関は語っていましたが、その根源は仏教経典『法華経』に由来しています。不惜身命――命を惜しまず信念を貫く姿勢は、古今を通じて多くの人々に深い感銘を与えてきました。

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