■「役所に力が戻ってきた感じがする」省庁幹部の実感
一度決めた方針の撤回は、世論に配慮した“柔軟な対応”とも取れるが、政府内の調整機能が十分果たされていない証拠でもある。国交省も文科省も官邸に事前に伝えておらず、独断で行っていたようだ。官邸幹部の一人は、立て続けに起こった今回の事例に対し、「岸田内閣になって省庁側からの提案で物事を進めていく雰囲気になった。もう少し省庁との連携や目配せが必要だった」と反省を口にする。一方で、ある省庁の幹部は、「安倍、菅時代の官邸一強と比べれば今は相対的に官邸の力が落ちている。我々からすれば役所に力が戻ってきたという感じだ」と話した。<中略>
■「政高党高があるべき姿」党に“気を遣わなければいけない”事情とは
霞が関(省庁)だけではなく、党との関係も岸田内閣になって変わってきた。安倍、菅政権では、意志決定において官邸主導の傾向が強く、党の力が相対的に低い「政高党低」だといわれた。
「政府と党は車の両輪だ。『政高党高』があるべき姿だ」
自身が出馬した昨年9月の総裁選を通じて、岸田総理は「政府と党は両方とも活力を持たなければならない。どちらが上の方がよいという話ではない」と主張してきた。総理に就任してから、弱体化した党の力を是正し、政策の「ボトムアップ型」を試みているように思う。人事でも副総裁に重鎮・麻生太郎氏を起用したことや、総理が就任後も頻繁に党本部に足を運ぶ姿からも感じ取れる。安倍・菅時代ではあまり見られなかった光景であり、総理が麻生副総理や茂木幹事長ら党幹部との意思疎通を重要視していることがわかる。
一方で、総理には彼らに気を遣わなければいけない事情もある。総理が所属する岸田派(宏池会)は43人で党内第5派閥。つまり総理は決して党内基盤が盤石ではない。党内最大派閥・安倍派(94人)を率いる安倍元総理、第2派閥・麻生派(53人)を率いる麻生副総裁らの顔色を見ながら、政権運営をせざるを得ない。今後支持率が低下すればいつでも“岸田下ろし”が起き得る環境にある。岸田総理はできるだけ党内に敵を作らず、少しでも多くの“味方”を作っておきたいという事情がある。そんな中、憶測を呼びそうな会合があった。
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https://news.yahoo.co.jp/pickup/6414771
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