日本大学の付属病院をめぐる背任事件で、起訴された大阪の医療法人の前理事長らが日大の田中理事長側にこれまでに少なくとも現金9000万円を提供した疑いがあることが、関係者への取材で分かりました。
東京地検特捜部が関係先として田中理事長の自宅を捜索した際、1億円を超える現金が見つかったということで、特捜部は国税当局とも連携し、資金の流れを調べるものとみられます。田中理事長は特捜部の任意の調べに対し、現金の授受を否定しているということです。
日本大学の理事だった井ノ口忠男被告(64)と大阪市に本部がある大手医療法人「錦秀会」の前理事長、籔本雅巳被告(61)は、日本大学医学部附属板橋病院の建て替え工事などをめぐる取り引きで、合わせておよそ4億2000万円を籔本前理事長側に流出させ、大学に損害を与えたとして背任の罪で起訴されました。
関係者によりますと、2人の供述などから、日大の田中英壽理事長側にこれまでに、少なくとも合わせて現金9000万円が提供された疑いがあることが新たに分かりました。
このうち3000万円は建て替え工事をめぐる事件で、業務を受注した業者から籔本前理事長の会社に2億2000万円が送金された直後の去年8月に提供された疑いがあるということです。
この事件では、東京地検特捜部が関係先として田中理事長の自宅を捜索をした際、1億円を超える現金が見つかっていたことも新たに分かり、特捜部は国税当局とも連携し、引き続き資金の流れの解明を進めるものとみられます。
関係者によりますと、田中理事長は、特捜部の任意の調べに対して籔本前理事長らから現金を受け取ったことを否定しているということです。
日本大学は、NHKの取材に対して「理事長の自宅から見つかった現金は役員報酬や理事長の妻が経営する飲食店の利益などで、税務申告は適切に行っていると聞いています」とコメントしています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211118/k10013352031000.html