世界中で大きな問題に
【現在】新利根川の水面を覆い尽くすナガエツルノゲイトウ。収穫をひかえる水田でも繁殖し農作物が大打撃を受ける可能性も
驚くべき繁殖力で水面を覆(おお)いつくす水草の大群――。この夏に全国各地で大拡大した、地球最悪の侵略植物と呼ばれる「ナガエツルノゲイトウ」だ。写真は、茨城県河内町を流れる新利根川の風景を一変させた侵略植物の群れである。近くでコメ農家を営む50代の男性が嘆く。
【画像】衝撃の光景…!地球最悪の″侵略植物″ナガエツルノゲイトウが水面を覆い尽くし……
https://i.imgur.com/ES9aDJ1.png
「もう手の打ちようがありません。水田の中でも増殖して、抜いても抜いても根っこや茎(くき)の一部からすぐに再生してしまいます……。
流入を防ぐために用水路の水栓にネットをつけていますが、細かい草の一部がすり抜けてくる。除草剤も田植え後には使えず、収穫するコメに甚大(じんだい)な被害が出ないか本当に心配です」
ナガエツルノゲイトウは南米原産の多年草で、水生・陸生環境に壊滅的な影響を与えることから「アリゲーター・ウイード(ワニ草)」という英語名が付いている。
日本では’89年に兵庫県内で確認されて以来各地に生息域が拡大し、現在では東北以南を中心とする30都府県に分布。特定外来生物に指定されている。
「わずか数mmの節があれば、根と芽が再生し40日ほどで倍増します。千切れた一部が水に流された先で繁殖を繰り返し、生息域を急速に広げていくのです。
通水障害から魚を始めとする水中生物が棲(す)めなくなるだけでなく、陸上でも生育できることから農業や畜産業にも多大な打撃があるとして、世界中で大きな問題になっています」(全国紙社会部記者)
新利根川とその周辺では、茨城県が8年前に大規模駆除したがさらに増えてしまい、今年度は約2500万円をかけ再び駆除を行う予定だ。侵略的外来種に詳しいエコロジー研究所の丸井英幹氏は、大繁殖は温暖化とも関係があると話す。
「熱帯性の水草全般に言えることですが、暑い日が続くなど環境条件が整えば増える速度は上がります。駆除するには除草剤散布や、遮光(しゃこう)シートで覆って光合成をさせないなどの対策が必要でしょう。
しかし、管理された密閉環境以外での駆除成功例はない。外来種の侵入を許しているのは、人間による水辺環境の過度な開発によって防波堤となるべき在来種が減ってしまったことも要因の一つです」
想像をはるかに超えるスピードで、「南米の悪魔」が日本の生態を侵食している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3eff556374a6251db09d7e1560328264e5603c1d

