出版大手のKADOKAWAは、中国ネット大手の騰訊控股(テンセント)と資本業務提携した。KADOKAWAが第三者割当増資を実施してテンセントのグループ会社が300億円を出資。出資比率は6.86%で第3位の株主だ。調達した300億円をコンテンツ事業に充当する。<中略>
テンセントは日米両政府が警戒する“経済安保銘柄”
株式市場がKADOKAWAの第三者割当増資に注目したのは、テンセントが“経済安保銘柄”だからだ。テンセントは百度、アリババとともに中国IT御三家といわれる巨大企業。テンセントの時価総額39兆円で中国最大。世界で第7位である。人口14億人の中国でSNSやゲーム事業を、ほぼ独占している。
そのため、テンセントに対する米国の評価は厳しい。トランプ前大統領は21年1月、テンセントのアプリの米国内の取引を禁じる大統領令に署名した。民間技術を軍事転用する恐れがある中国への情報漏洩の防止が目的で「安全保障上の措置」とした。
日本企業では楽天グループが21年3月、日本郵政、テンセントの子会社など計5社に第三者割当増資を実施し、計2423億円を調達した。テンセントの子会社は657億円を払い込み、出資比率は3.65%となった。4月16日に行われた菅義偉首相(当時)とバイデン米大統領との初の日米首脳会談で経済安全保障の協力拡大が主要議題となるとみられていたため、日本政府は米国側に、楽天Gに対するテンセントの出資で情報流出など安全保障上の問題が生じないようにすると伝えた。テンセントの楽天への資本参加が懸念材料にならないように、首脳会談の前に配慮したのだ。
テンセントのKADOKAWAへの出資額は300億円、出資比率は6.86%。今回の出資についてKADOKAWAは「テンセント側が外為法上の免除要件を満たしたと確認済み」としている。中国では子どものゲーム利用に厳しい規制が敷かれている。21年、中国の国営メディアが人気オンラインゲーム「王者英躍」を「精神的アヘン」だとして名指しで非難した。これに対してテンセントは即座に声明を発表し、未成年者のプレイ時間の制限や12歳以下の課金禁止といった措置を講じるなどした。
テンセントは中国当局の規制の網がかからない海外市場での展開を加速させている。中国国内ではネット以外の分野を開拓しようとしている。一方、日本では、20年5月にゲーム開発会社マーベラスに出資。21年、楽天グループ、KADOKAWAと相次いで出資した。(以下ソースで)
Business Journal 2021.12.30 06:05
https://biz-journal.jp/2021/12/post_272680.html
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