1:名無しさん




  国内の人工林は、膨大な量の炭素を蓄えているものの、中には伐採期を迎えても伐採植林されない森林も多く、こうした森林では、新たに蓄積する炭素量は年々減少しています。人工林は、木の若さを維持して定期的な伐採と植林をおこない、木材を燃料や建築用材などとして活用することで、温暖化対策に非常に大きな効果を発揮します。

一方で、 野焼きをおこなう草地では、ススキなどの燃焼により炭 (微粒炭) が発生し、微粒炭は土壌に蓄えられます。 微粒炭は、元々植物が吸収した大気中のCO2に由来するものです。火山灰と腐植でできた阿蘇の土壌 (黒ボク土) は、微粒炭とともに、有機物を分解しにくくする作用があります。ススキの根は地上部の葉や茎の2倍以上の量あり、微粒炭だけでなく、根に含まれる大気中のCO2由来の炭素も土壌に貯留されることになります。このように阿蘇の草地の土壌の炭素固定能力は、野焼きにより非常に高くなっています。

森林と野焼きを実施してきた草地では、それぞれどれだけの炭素を蓄えているのでしょうか。国内の森林の平均的な林分材積で、樹齢50年のスギ人工林は1haに約360トン (広葉樹天然林は約200トン) に相当する CO2を蓄えていると試算されています。ただし、先述のとおり樹齢を重ねるごとに1年間の新たな蓄積量は少なくなっていきますので、一定以上の増加はあまりありません。野焼きを実施する草地は、調査によって違いがありますが、1回の野焼きで燃焼により放出するCO2などの温室効果ガスを差し引いても、1haあたり1~ 3トンに相当するCO2を固定していることが明らかになっています。1回の野焼きでは、森林の蓄積量に比べるとごくわずかですが、 毎年野焼きを継続すれば、分解や流出などにより失われる分はありますが、次々と蓄積されていくことになります。長く続けられてきた野焼きにより、阿蘇の黒ボク土の平均炭素蓄積量は、1haあたり232トンと試算されています。 

https://www.vill.minamiaso.lg.jp/kiji0032317/3_2317_up_eovob6jb.pdf