EV減速で業績悪化…ロームが半導体工場集約、迫られる構造改革
2025年04月02日 日刊工業新聞
ロームの東克己社長は3月31日までに日刊工業新聞の取材に応じ、今後3年間で国内外2―3カ所の半導体工場を集約すると明らかにした。同社は炭化ケイ素(SiC)半導体を中心にパワー半導体の増産投資を積極化していたが、電気自動車(EV)市場の減速から業績が悪化。2025年3月期は150億円の営業赤字を予想しており、生産体制の再構築など構造改革に迫られている。
1日就任した東社長は「8インチへの移行が大きなテーマとなっている」と説明。6インチウエハー工場を8インチウエハー工場に集約することで、拠点集約を進めるものと見られる。「8インチでも(設備が)空いている工場がある」とし、集約により早急に稼働率の引き上げに努める。加えてIDM(垂直統合型)の生産体制を見直し、ファウンドリー(半導体製造受託)や半導体後工程請負業(OSAT)など外部での生産比率を高める計画も打ち出しており、「多くの問い合わせが来ている」と、OSATなどへの設備売却も含めた交渉が進むとみられる。
東社長は28年3月期までに営業利益率20%への回復を必達目標に掲げた。26年3月期はSiCの歩留まり向上に加えて、工場内のフロア集約による電気代削減や関係会社の不動産売却などを積み上げることで営業黒字転換を目指す。
https://newswitch.jp/p/45203