厳しい財政状況が続く東京藝術大学で4月15日、「電気代を稼ぐコンサート」が開かれた。
藝大の客員教授でもあるシンガーソングライター、さだまさしさんらが出演したコンサートの収益は、文字通り「電気代」に充てられるという。
これまで藝大は、教育環境の維持のため、学費値上げやクラウドファンデングによる資金調達などをおこなってきた。しかし、今年2月には、光熱費高騰の影響で、練習室のピアノを撤去したことが大きく報じられるなど苦境は続いている。
そうした中で急務となっているのが、学内施設の老朽化問題だ。2019年3月、東京・上野のキャンパスでおこなわれた入試中、天窓が破損し、落下したガラスがデッサンを描いていた受験生を直撃したという。いったい何が起きたのか。
藝大に聞いた。
●受験生のデッサン用紙にガラス片
「事故」が起きた彫刻棟は1971年に施工された。大型作品も設置できるよう高い天井を持ち、明治以来続く彫刻科の教育を支えてきた歴史ある建物だ。しかし、建築から半世紀近くが経ち、雨漏りするなど、老朽化が指摘されていた。2019年3月に彫刻棟で実施されていた入試では、試験中に天窓のガラスが破損して落下して、受験生に当たるという「事故」が発生したという。
弁護士ドットコムニュースが取材したところ、藝大側はこの事故を事実と認めた。事故が起きた原因について、藝大は次のようにコメントしている。
「建物の老朽化が原因です。要因となった建物の老朽化については、事故直後に修理の対応をおこなっており、今後は同様の事例が起きないよう対処しました」
幸い、受験生に怪我はなかったというが、受験生が描いていたデッサン用紙にも当たり、紙が破損してしまったという。
「デッサン用紙にガラス片が当たったため、新しいデッサン用紙を渡しデッサンを再開してもらいました。 その事故があった時間までを換算して、本人の了解を得たうえで試験終了後に延長期間を与えましたので、採点は通常通りおこないました」(藝大広報担当者)
なお、藝大はこの「事故」を公表してこなかったが、その理由についてはこう説明している。
「受験生に怪我もなく、試験についても了解を得たうえで試験時間を延長しており、不利益は生じていないこと及び受験生への配慮から公表しておりません」
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