ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は26日、首都キエフへの攻撃を強めた。市内各地で銃撃や砲撃の音が響き、ロイター通信によると、政府庁舎付近でも銃声が響いた。ウクライナ軍は徹底抗戦の構えで、首都を巡る攻防が激化している。停戦協議に向けた動きも出ているものの、実現の見通しはたっていない。
ロイター通信によると、ウクライナ当局はキエフ市内の路上で戦闘が起きているとして、市民に地下シェルターへの避難を呼びかけた。露軍によるミサイル攻撃も報じられており、米CNNなどによると、キエフ中心部近くの高層アパートに着弾した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は26日未明のビデオメッセージで露軍が「攻撃をしてくる」と述べ、首都への大規模侵攻に備えるよう呼びかけた。ウクライナのウニアン通信によると、キエフ北方の郊外には露軍の装甲車約100両が迫っており、攻勢はさらに強まりそうだ。米メディアによると、キエフから南へ約35キロのバシリコフでも激しい戦闘が起きている。
キエフ以外でも戦闘が続いている。米政府によると北東部ハリコフや南部ヘルソンなどで激戦が起き、露軍はヘルソン近くのダムや発電所にサイバー攻撃を交えて占拠を試みた。ロイターによると、ポーランドとの国境に近い西部リビウにも26日、ロシア兵60人が侵攻。ウクライナ軍が撃退したという。
ウクライナ当局は、一連の戦闘に伴い少なくとも子供3人を含む198人が死亡、1115人が負傷したと発表した。避難の動きは加速しており、ポーランド政府高官は25日、これまでに約10万人がウクライナから逃れてきたと述べた。
露国防省は、南部メリトポリを占拠したと発表。巡航ミサイルなどによる攻撃も続け、これまでに14の空港を含む821の軍事施設を破壊したとしている。
ウクライナメディアによると、ウクライナ大統領府は26日朝時点で露軍の死者が約3500人に上るとの見方を示した。約200人を捕虜にしたという。キエフ郊外では露軍の空挺(くうてい)部隊を乗せた大型輸送機を撃墜したとしている。
露国防省はウクライナ軍のミサイル防衛(MD)システムを無力化したと発表しているが、米政府高官は25日、「MDシステムは機能しており、すべての制空権がロシア側に奪われたわけではない」と反論。キエフ侵攻が「当初の計画通りには進んでいない」と指摘した。
プーチン露大統領は25日の安全保障会議で、ウクライナの現政権を「薬物中毒者やネオナチ」と非難し、ウクライナ軍に「権力を奪取してほしい」とクーデターを呼びかけた。前線の膠着(こうちゃく)状況にいら立ちを示した可能性がある。
米メディアによると、米国はゼレンスキー氏に対し、避難支援を準備していると伝えたが、ゼレンスキー氏はキエフにとどまる意思を示しているという。ゼレンスキー氏はネット交流サービス(SNS)などで頻繁に発信して自身がキエフにとどまっていることを強調し、国民の結束を図っている。26日朝(日本時間同日午後)にもキエフ中心部にいる映像を公開し「我々は決して武器を置かない。自分たちの国を守り続ける」と抗戦を呼びかけた。
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https://news.yahoo.co.jp/articles/f9a2bc1c7ffea342ac7f127c5856349897b4007c
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