1:名無しさん




幻覚などを起こす違法薬物のイメージが強い植物の大麻だが、日本では古来、さまざまな加工品が生活に密着して使われ、戦後は免許制で栽培が守り続けられてきた。その信頼を揺るがす事件が起きた。鳥取県の許可を得て同県智頭町で産業用大麻を栽培・加工していた会社代表の男(37)が10月、大麻取締法違反容疑(所持)で逮捕されたのだ。男は栽培していた大麻とは別に、使用目的で乾燥大麻を所持。同社の従業員の男2人も同容疑で逮捕された。事件を受け、県は大麻草の栽培を全面的に禁止。厚労省も大麻監視強化を全国の自治体に通知し、各地の栽培計画への風当たりが強まるなど、波紋が広がっている。

北海道の大麻栽培も影響

こうした事態は、各地の団体が準備を進める産業用大麻の生産にも影を落としている。

明治以来、繊維を衣服や漁網などに加工し、最盛期には約1500ヘクタールの規模で大麻を生産してきた北海道。化学繊維の台頭などで戦後衰退した大麻が産業振興に再び役立てられるかを検討するため、道は平成25年に「道産業用大麻可能性検討会」を設置。26年からは、道の環境が大麻栽培に適するかを調べる試験栽培を公的研究機関で行っている。

これまでの検討会では、産業用大麻の活用が自動車部品や建材、農業用資材、エネルギー分野に広がるなど、有用性が認められた。特に道では大麻が地下に1メートルを超す根を張り、土壌改善の効果を持つとして、小麦やジャガイモなど他の農産物との輪作に有効とする指摘もあった。

また薬理作用が極めて少ない無毒性種子の確保や、薬物乱用の不安を取り除く検査態勢の必要性なども話し合われていた。しかし、鳥取の事件後の10月24日にあった検討会で、大麻の作物としての可能性に関し委員から相次いだのは慎重論だった。

道農産振興課の佐々木秀弥主幹は「今まで着実に歩を進めてきたのに、数十歩も後退してしまった」と嘆く。

https://www.sankei.com/article/20161229-JKBJD6M7KJMNTOJAWT34C2PVUA/3/