ロシア軍、キエフ中心部まで15キロに接近 米分析
【ワシントン=中村亮】米国防総省高官は10日、記者団に対して、ロシア軍がウクライナの首都キエフに北西部から接近し、中心部まで15キロメートルに迫った可能性があるとの分析を明らかにした。北東部からも接近し、キエフの包囲を目指していると重ねて指摘した。
高官によると、ウクライナ北東部スムイから西に進んでキエフを目指すロシア軍部隊はキエフ中心部まで約40キロメートルの位置に達したという。ただ部隊の一部はスムイの方向に逆戻りしているといい、意図が不明だとした。キエフから北方に位置するチェルニヒウはロシア軍に包囲されたとみられ、「孤立状態にある」と説明した。
高官は侵攻前にウクライナ周辺に集まったロシア軍の「ほぼ100%」がウクライナに入ったと指摘しているが、そのうち90%以上の戦力が残っていると分析した。キエフなどの大都市の制圧が停滞しつつも余力を残していることになる。高官はロシア軍が侵攻開始から775発以上のミサイルを使ったと推計した。
バイデン米政権は9日、ポーランドからウクライナへの戦闘機の供与に反対する方針を示した。高官は別の方法でウクライナの防空体制の強化を支援すると改めて強調しつつ、米国製の地対空ミサイル「パトリオット」は選択肢にないと言明した。運用に米兵が関与する必要があり、米兵をウクライナへ派遣しない方針に反するためだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1108Z0R10C22A3000000/