6月6日、パリ五輪まで残り50日となった。日本では代表内定の選手が発表されていく中、パリの街で「本当に開催できるのか?」と開催が危ぶまれている競技会場がある。それは開会式とトライアスロン、マラソンスイミングが行われる「セーヌ川」だ。一体、花の都を彩る河川に何が起きているのか。<中略>
「道頓堀より6倍以上」の大腸菌を検出
前出の「サーフライダー」が5月22日にトライアスロンの水泳スタート地点・アレクサンドル3世橋付近で採取した水の分析結果は、100mlあたり大腸菌3430、腸球菌508だった。阪神タイガースが優勝した際、ダイブの自粛をよびかけられた道頓堀川でも、昨年2月の大腸菌は100mlあたり540(23年2月、道頓堀橋付近。日本分析化学専門学校調べ)だったから、その6倍以上になる。
大腸菌も腸球菌も腸内細菌で病原体ではないが、それらが多ければ多いほど病原体が増えている可能性が高く、「中耳炎」、「皮膚炎」、「腸炎」などを引き起こす。プールではいずれも0でなければならないが、ワールドトライアスロンの基準ではそこまで厳しくはない。だが最悪でも大腸菌1000、腸球菌400を超えてはならないとしている。
当局の反論「雨が多かった」
「サーフライダー」は、昨年の9月から2週間ごとに定期的に検査しているが、毎回この基準の2倍3倍になっており、「競技を行うのは危険」という評価がなされている。一方、パリ市では、昨年6月からアレクサンドル3世橋のたもとの船上レストランに装置をつけてオンラインで常時水質分析しており、スポーツ・オリ・パラ担当のピエール・ラバダン副市長によれば「80%は満足いく結果が出ている」という。遊泳許可の決定権のあるイルドフランス州地方長官庁(注:地方における国の代表、知事とも訳されるが自治体の長ではない)も、「サーフライダー」からの公開質問状に「まだ処理ユニットが稼働していなかった、さらに5月・6月からは追加施設が稼働する。雨が多かった」などと反論した。
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