アズキの起源が日本である、という論文を出しました。Scienceじゃい!https://t.co/9zIjE1qkYb
— 内藤健 (@drk0311) May 29, 2025
ポイント
農研機構と台湾大学の研究グループは、詳細なゲノム解析により、アズキの栽培化1)起源が縄文時代の日本であることを明らかにしました。アズキが、イネやムギなどと同様に大陸から日本に伝えられたとする従来の見解を、覆す研究成果です。また、本研究で得られたゲノムデータは、今後の研究や品種開発にも活用できます。
概要
アズキは和菓子や赤飯に使われている、和食文化を支える重要な作物ですが、イネ・ムギなどと同様に大陸から伝えられたものと考えられてきました。一方、近年の発掘調査では、約6千~4千年前(日本では縄文時代後期)に、中国に比べて日本でアズキ種子の大型化が進行していたことを示す結果が得られており、アズキ栽培化の日本起源説が提唱されてきました。しかし、アズキの栽培化が日本で行われたことの科学的証明は十分ではありませんでした。
そこで、農研機構と台湾大学の研究グループは、アズキの栽培化起源(ルーツ)を探ることを目的に、アジア各地から収集された栽培アズキおよびその祖先である野生種のヤブツルアズキ全693系統の全ゲノム解析を行いました。一般に、植物では、遺伝的多様性が高い地域が起源地であると考えられており、核ゲノムの解析結果では、中国の栽培アズキの方が日本の栽培アズキよりも多様性が高く、大陸起源説を支持するものでした。一方で、母性遺伝2)する葉緑体ゲノムの解析結果は「中国の栽培アズキも日本のヤブツルアズキと同型で、中国のヤブツルアズキとは明確に異なる」ことを示しており、栽培アズキが日本で生まれた後に中国へ広がったことを支持するものでした。
上記の相反する2つの説を解決するために、研究グループはより詳細な核ゲノム配列の解析を行いました。その結果、中国の栽培アズキに見られる高い多様性は、中国のヤブツルアズキとの交雑によってもたらされたことが推察されました。すなわち、日本でヤブツルアズキが栽培化され、その後中国に広がり、続いて中国で現地のヤブツルアズキと交雑したことで多様な栽培アズキが成立したことが示唆されました。本研究の成果は近年の考古学研究の成果と合致するものです。本研究は、詳細なゲノム解析が複雑な作物進化を解き明かし、育種に遺伝資源を利用する上で有用な栽培起源地の情報を明らかにした好例と言えます。
https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/ngrc/169242.html
アジア各地から収集されたアズキとその原種ヤブツルアズキ、330系統くらいゲノム読んだら、アズキの起源は縄文時代の日本に落ち着きました。稲作伝来より遥に前から縄文人はアズキが原種から遺伝的にはっきり分化するほど栽培と収穫を繰り返していたことになります。
— 内藤健 (@drk0311) May 29, 2025
各地域のアズキ・ヤブツルアズキは、遺伝的に7つのグループに分かれます。アズキは日本・中国北部・中国南部の3つに、ヤブツルアズキは日本・中国・東南アジア・ヒマラヤの4つに。 pic.twitter.com/uIYbv4YIOL
— 内藤健 (@drk0311) May 29, 2025
で、ゲノムデータを使って系統樹作ったら、きっとヤブツルアズキとアズキが最初に分かれるのは日本になる・・・中国こそ始原、という系統樹になりました。あれー?でもこれだと日本のヤブツルは、アズキが日本に入ってきてから脱走して野生化したということに。それはないんちゃう。 pic.twitter.com/pc6v6epGeX
— 内藤健 (@drk0311) May 29, 2025
葉緑体ゲノムはどうよ?作物の種子は人が収穫して蒔いたり運んだりするので、ヤブツルの花粉が飛んできて雑種ができても、母性遺伝する葉緑体ゲノムはファーストアズキからずっと保存されてるかもと思い。結果、全てのアズキが日本のヤブツルと同型。ファーストアズキの日本生れを確信した瞬間。 pic.twitter.com/ZGhiBYJZYH
— 内藤健 (@drk0311) May 29, 2025
といわけで、やっぱり日本のヤブツルからアズキが栽培化され、それが中国へ広がったことになるはずだ。なら最初の系統樹が何で中国南部が起源ですヨみたいなことになったのか。それこそ北から伝播してきたアズキと、現地のヤブツルが交雑して生まれた雑種だからじゃね?
— 内藤健 (@drk0311) May 29, 2025
結論。雑種でした。中国南部のアズキのゲノムを個別に調べてみると、アズキ型のゲノムにヤブツル型のゲノムがパッチ状に浸透してました。現地との交雑で、暑さや日長などに適応したアズキが生まれた、ということなのだろうな、多分。 pic.twitter.com/ELUJpol2sB
— 内藤健 (@drk0311) May 29, 2025
アズキの起源は日本で決まり。では、日本のどこで、いつごろ?まず日本のどこで、北関東~ミナミ東北らへん。各地のヤブツルとアズキとの遺伝距離が、そこらへんで一番近くなるので。核ゲノムでも葉緑体ゲノムでもそうなる。 pic.twitter.com/u6Tu8rx23N
— 内藤健 (@drk0311) May 29, 2025
いつ?は4000~6000年くらい前。時期も場所も、ちょうどいいというか、北関東ではその時期の縄文遺跡が沢山見つかってて、しかも大型化したアズキの種子がいっぱい見つかる、という考古学的な証拠とうまく符合してくれました。ますます強い。 pic.twitter.com/wpnVsmHBDf
— 内藤健 (@drk0311) May 29, 2025
栽培化に伴って変化した形質の中でも、1遺伝子変異で決まるのは以下。種皮が赤くなるのはANR1遺伝子の1塩基置換、種皮の黒斑の消失はPAP1遺伝子が丸ごと欠失、そして莢が裂開しなくなるのはMYB26の1塩基挿入。上の2つは今回が初めて報告、最後の1つは6年前(https://t.co/WbwpPQSVAv)に報告済。 pic.twitter.com/CT7DfB6nmF
— 内藤健 (@drk0311) May 29, 2025
で、Scienceに載った理由は多分これ。赤色への選択は、実はアズキがヤブツルから遺伝的に分化するよりかなり前から始まっていたのに、莢の裂開性に対する選択は古墳時代くらいまであんま掛かってない。赤は見た目だけじゃなく水の通りやすさもあるので、発芽の向上や調理時間の短縮などに利いてたかも pic.twitter.com/4HNCwVz23y
— 内藤健 (@drk0311) May 29, 2025
莢は黒くなってから弾けるまでに数日間のタイムラグがあるので、栽培が家庭菜園程度の小規模なら毎日様子を見てれば弾ける前に収穫できちゃう。でも、共同体が大きくなって本格的な農耕が始まると、さすがにそれじゃ間に合わなくなるので非裂開性の莢が選択されることになったのでは、という考察。
— 内藤健 (@drk0311) May 29, 2025
以上、長くなったけど簡単な解説でした。午後にはプレスリリースが出るのでメディアの皆さんよろしくお願いします。本にする予定もあるので発売したらみんな買ってね!
— 内藤健 (@drk0311) May 30, 2025
プレスリリースはこちらhttps://t.co/b81PLGzGTe
— 内藤健 (@drk0311) May 30, 2025
読み終わりました。Scienceでアズキが出るとは思わなかったです。カッコ良いです。おめでとうございます!!
— Ryoma Takeshima (@RyomaTakeshima) May 31, 2025
サンキュー⭐︎ まあ、思わないよな笑 オレも思ってなかったし。
— 内藤健 (@drk0311) May 31, 2025
素晴らしい研究です。
— 青木甲羅仲(タートルマンの中の人) (@aoki_danna) May 30, 2025
私がアンコ好きなのは、縄文時代からの遺伝子だったんですね!
おめでとうございます
— 黒猫 (@ho_orz_orz) May 30, 2025
これは小豆で御赤飯を炊かないと!!
赤飯、ぜんざい、日本人には避けて通れない食材ですよね。
— りんなお@隻腕 (@1002linnao) May 31, 2025
とても誇らしい研究結果だと思います。
日本人の餡子好きって運命だったんだな
— f6m1n4m7s6 (@da21t0rama3) May 30, 2025
つまりあずきバーは日本が誇る聖剣なんやなぁ() https://t.co/PDImbD98pS
— 左 (@YKs8dtWA4yq2He3) May 30, 2025
黄河文明成立前に小豆が縄文人によって日本列島から大陸に渡ったとなると、殷の青銅器がやたらゴテゴテした祭祀用調理器具なのも縄文人が祭祀用調理器具として使用していた火焔土器にインスパイアされたという冗談が冗談でなくなるかも?
— ゆるキャラ侯爵 (@q5811kGPKY4K6sV) May 30, 2025
だって、小豆は茹でるか煮るかしないと食えないから。 https://t.co/hqYXKEE6ho pic.twitter.com/KGHHOp1kTN
つまり、おしるこやどら焼きは正真正銘日本を象徴するスイーツという事でよろしいか? https://t.co/l5tQvTnoNy
— Zmatarさん(ゼットマター)👅🥟🎪⛄️♌🌾🏮🔺💚🦉📕 (@matars_Daily) May 30, 2025
【#農研機構プレスリリース 🧬2025年5月30日】
— 農研機構 (@NARO_JP) May 30, 2025
アズキがイネ等と同様に大陸で栽培化されてから日本に伝わったとする従来の見解を覆し、アズキの栽培化は縄文時代の日本で始まったことをゲノム解析で明らかにしました。
得られたアズキのゲノム情報は、今後の品種開発に活用できます。… pic.twitter.com/StrMDr2NTi
小豆は日本が栽培法を開発した「破邪の穀物」ということに
— 勇者おいまて🇺🇸🇮🇱🇯🇵🇺🇦🇹🇼 (@N8xe0uQYGlBFmeV) May 31, 2025
なるほど(´・ω・`)
— 姓名 (@nityonityo) May 31, 2025
原種がまず、日本で栽培されるようになったことが
解析でわかるのと
その小豆が今度は日本から外にでていったことも
わかるわけじゃのお。。。
その年代が大陸から稲作伝搬起源と考えられていた
従来の遺跡よりはるかに古いと証明された
そりゃ、従来説では説明つかんのお。。。
これは日本の古代史を塗り替える可能性のある大発見。
— Omegaman (@k2Bo5rRSaaJaDk5) May 31, 2025
縄文人が農耕をしていたことはわかっていたが、縄文人が栽培していたアズキが大陸に渡って中国でも栽培されていたことが確認された。
つまり水田稲作が日本に伝播した約3000年前、逆ルートの日本=>大陸という伝播ルートがあったことになる。 https://t.co/f3nGL1o0zr