先ごろ行なわれた都知事選の事前報道で、テレビ各局は石丸候補の躍進をまったく予測できず、安野候補に至ってはほとんど取り上げなかった。なぜこうなってしまったのか。ネットでの地殻変動を捉えきれない旧来型の選挙報道の限界があったのではないか。ジャーナリストで上智大学文学部新聞学科教授の水島宏明氏による論考。
はじめに
現職の小池百合子知事が三選を果たした東京都知事選の投開票日からもう1か月あまりになる。現職の小池氏と立憲民主党や共産党などが支援した前参議院議員の蓮舫氏との事実上の一騎打ちと見られていた今回の知事選。
テレビや新聞などの主要メディアは、小池百合子氏、蓮舫氏、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏、元航空幕僚長の田母神俊雄氏の4人を主要な候補と想定して、事前の記者会見などもセットした。
7月7日の七夕決戦。午後8時からの各社の開票速報では早々と小池百合子氏の当選が決まった。結局291万票あまりを獲得して圧勝した小池氏に次ぐ2位になったのは165万票あまりを集めた石丸伸二氏だった。女性同士の闘いになると見られていた蓮舫氏は128万票で3位に沈んだ。
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