西日本新聞「あなたの特命取材班」に、福岡市でマンションを所有する不動産会社の経営者から憤りの投稿が寄せられました。住民が不在の時に荷物を一時的に保管できる宅配ボックスを配達業者が勝手に開け、先に入っていた荷物を外に出し、自分の荷物を置いていった──というのです。なぜこんなことができるのでしょうか。そして何のために…。背景には運送業界を巡る課題があるようです。
【投稿】
福岡市内にマンションを所有する不動産会社を経営しています。マンションの入り口には宅配ボックスが並んでいます。配達員が暗証番号を設定する「ダイヤル式」と呼ばれるものです。
5月上旬、Amazon(アマゾン)の荷物の配達を請け負う業者が、既に荷物が保管されているボックスを勝手に開錠し、中に入っていた荷物をボックス前に放置し、自分の荷物を入れて去った事案が発生しました。
マンションには防犯カメラがあり、映っていた箱の名前からアマゾンの配達員だとすぐに分かりました。マンションの外に設置してたカメラには車両も映り込んでいました。自ら名乗り出るよう宅配ボックスに注意書きを張っていたところ、締め切り期日ぎりぎりに、荷物を放置した配達員から「私がやりました。申し訳ない」という趣旨の電話がありました。
1年ほど前から、宅配ボックスの多くがずっと「使用中」になっていたことから、マスターキーで調べたことがありました。そうすると、何と15のボックスの半分は何も入っていませんでした。さらに調べると、暗証番号が複数の同一数字で設定されていることに気が付きました。
配達の委託を受ける業者は、地元の個人事業主も少なくありません。同じ会社の荷物を扱う知り合い同士で暗証番号を共有し、宅配ボックスをキープしているようなのです。自分たちが荷物を届ける効率性を高めるためです。今回の事例でも、閉まったボックスに片っ端からある番号を入れ続け、開いたボックスに自分の荷物を入れる行動がカメラで確認できました。
アマゾン側からはメールでの謝罪はありましたが、同社の担当者からは詳しい説明を聞けていません。
宅配ボックスは日中の留守が多い集合住宅では不可欠なものです。ネット通販などが増大し、さらに宅配の単価や給与が低い業界にとって、再配達の負担は大きいでしょう。それを回避する目的で、宅配ボックスを一定のグループ内でキープすることが、全国各地で起きているのではないかと推察しております。
それをぜひ知ってもらいたいと、投稿しました。
【あなたの特命取材班から】
「あらためて本件について心からお詫び申し上げます」。投稿者がアマゾン側にこの問題を通告した後、このような謝罪のメールがありました。「ご提供いただいた動画に映し出されている配達方法は許しがたいものです。このようなことが起こってしまい本当に申し訳ございませんでした。(中略)今後お客様の商品がこのような方法で配達されないよう努めます」などとの内容でした。
投稿者によると6月上旬、1次下請けに当たる配達業者の関係者から、直接謝罪があったそうです。荷物が放置された住民に対して、一定の賠償がなされる方向で調整しているそうです。荷物を放置した業者は、3次か4次の下請けのようですが、個人事業主か直接雇用なのかは、個人情報を理由に1次下請けから説明を受けられませんでした。
全文はこちら
https://news.yahoo.co.jp/articles/f604bdca0b0552f4fded9335e42adddb75789e4a
https://i.imgur.com/82f7zgh.jpg
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