中国指導部の経済・金融面での愚策には際限がないようだ。中国の指導者たちは何年間も不動産危機の悪影響を食い止めることができなかったが、新たな報道によると、国有企業に海外に保有する資金を引き揚げて中国株の購入に充てるよう命じることで中国の株式市場を支援しようとしているようだ。噂では、この取り組みで2兆元(約42兆円)が動くという。共産主義の政権にしては実に奇妙な動きであり、中国経済が直面している根本的な問題にも対処しない限り、失敗に終わるだろう。
中国の株式市場はかなり長い間低迷している。米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、上海総合指数は過去3年で21%超下落。それにともない時価総額も減っている。株式の投資価値を判断する際に重視される株価収益率は、過去10年間の平均12.5倍をはるかに下回る10.4倍まで低下している。政府の大型支出計画の噂が思惑買いを誘い、主要株価指数はわずか3日間で5%近く上昇したが、その後再び下落に転じ、2021年の高値を大きく下回ったままだ。
一方、株価収益倍率のような投資価値を示す指標の下落は、経済が抱える根本的な問題を正しく反映している。成長ペースは過去の平均値から大幅に鈍化しており、それにともない株価を支える収益も伸び悩んでいる。もちろん、この苦境の大部分は中国で現在も続いている不動産危機に起因している。
現在直面している危機は3年ほど前、政府が不動産開発企業への積極的な支援を突然打ち切ったことから始まった。この動きは大手不動産開発企業の経営難を引き起こした。政府はこうした経営難の金融面への影響を抑制できず、中国の金融は経済成長を支えるために必要な信用取引の流れを提供できなくなった。さらに悪いことに、不動産開発企業の経営難とそれがもたらした金融上の制約によって、住宅購入が大幅に減少し、それにともなって不動産価格も下落した。
中国株への投資を考えている投資家にとって危険な状況
これは問題の始まりに過ぎなかった。不動産価値の下落は家計の純資産を大きく目減りさせたため、消費者は支出を控えるようになった。同時に、外国企業がサプライチェーンの多様化を求め、外国政府(特に米国、欧州連合、日本)が中国との貿易を敬遠するようになったため、中国の輸出は苦境に立たされている。
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