東北地盤で関東にも展開するラーメンチェーンの「幸楽苑」。かつては税抜290円という破格の値段で中華そばを提供し、庶民の味方として大いに存在感を放っていました。しかし、全盛期は500店舗を超えていたのに、現在では400店舗程度しかありません。直近の4年間で100店舗も減少しているのです。実のところ、規模縮小はコロナ禍以前からの既定路線だったようです。幸楽苑の沿革、そして業績が悪化してしまった背景について解説します。
「幸楽苑」の由来は?
幸楽苑は1954年に福島県会津若松市で誕生した「味よし食堂」から始まりました。当時はうどん(20円)、らーめん(35円)などのメニューを提供していました。創業者が東京の「幸楽飯店」で修業し看板を譲られたことから1967年に店名を「幸楽苑」に変更したようです。
福島県内で出店を続けながら1975年には県内に初の自社工場を設置し、餃子と自家製麺の製造を開始しました。80年代からは宮城・新潟と県外にも進出し、90年代には千葉・埼玉にも進出しました。現在、東京都には約30店舗ありますが、都内の第1号店は2000年にオープンしています。その後は小規模ながら関西にも進出し、2015年にはHD化しました。
かつては低価格がウリだったが…
幸楽苑のメニューは各ジャンルのバリエーションが豊富です。らーめんは主に醤油・味噌・塩と3種類に分類されていますが、例えば塩らーめんの場合、通常の「塩らーめん」の他に「塩ねぎらーめん」や「塩野菜らーめん」などがあり、塩系だけでも9種類の商品があります。ファミリー層をターゲットとしているため、あっさり目のメニューが多い印象です。
ここ最近感じられる変化としては、かつては低価格がウリでしたが、値上げラッシュにより中華そばが490円になるなど、近年ではコスパがよかった印象が薄くなっています。
低価格戦略で全国展開を目指すも…
幸楽苑は主にロードサイドに進出しており、店舗はほぼ直営店です。2023年4月現在、国内に422店舗あり、県別では福島・57店舗、宮城・44店舗と東北の店舗数が多く、東京・29店舗、千葉・46店舗、埼玉40店舗と関東にも進出しています。一方、愛知・3店舗、大阪・2店舗、兵庫・1店舗と西日本にはほぼ進出できていないようです。
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