<ウクライナ軍の反転攻勢を恐れたロシア系住民のクリミア脱出が加速している。ロシア人首長は「迎え撃つ」と強気だが>
ロシア・ウクライナ戦争で、近々ウクライナ軍の反転攻勢があるとの恐れから、ロシア系住民によるクリミア脱出が加速しているという。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー政権でクリミア問題を統括するタミラ・タシェワ大統領代表が、国営テレビに出演して述べた。ロシア系住民は、2014年にロシアが一方的に併合したクリミア半島をウクライナが奪還しようとすることに不安を募らせているという。<中略>
■クリミアは「売り出し物件だらけ」
タシェワは「大勢の人が家を捨て、クリミア半島から脱出している」と発言。これに先立ち、現在クリミア半島には50万人から80万人のロシア人が違法に暮らしていると述べ、ウクライナがクリミアを奪還すれば、彼らはウクライナの法律や国際法に従って、国外退去処分となる可能性があると指摘していた。
何千人ものロシア人がクリミアから脱出しているため、クリミアの住宅市場は売り一色だ、とつけ加えた。「どれだけの人がクリミアを去ったのかについては、統計がないから分からない。残念なことに数十万人単位とはいかないが、数千人単位だと理解している。その証拠に、クリミア大橋にも大行列ができている」と彼女は述べた。クリミア大橋は、ロシア本土とクリミア半島を結ぶ橋だ。本誌はこの件についてロシア外務省に問い合わせたが、返答はなかった。
クリミア半島の先住少数民族タタール人を支援する「Q-Hub」の代表を務めるエミール・イブラギモワは、ウクライナのNVラジオに対して、ロシア系住民はいずれウクライナ軍がクリミアを解放し、報復を受けるのを恐れている。2022年8月にクリミアのロシア空軍基地が空爆を受けたときも、多くのロシア系住民が逃げた。生き延びるため、彼らはクリミア大橋を渡った先にあるロシア南部のクラスノダールに逃れたという。まだクリミアに残っているロシア系住民は、「ウクライナ軍が近い将来、クリミアを奪還しそうだと見て怯え、パニックに陥っているのだ」と、イブラギモワは言う。
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