巨匠たちが油絵具に「卵黄」を混ぜた理由をついに解明!
レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、フェルメール、レンブラントなど、ルネサンス期から18世紀のヨーロッパで活躍した巨匠画家を「オールド・マスター(Old Master)」と呼びます。
これまでの研究で、オールド・マスターたちは油絵具に「卵黄」を加えていることが知られていました。
実際、巨匠たちの遺したマスターピースからも卵黄のタンパク質がしばしば検出されています。
しかし、卵黄を混ぜることにどんな効果があったのかは分かっていませんでした。
そんな中、独カールスルーエ工科大学(KIT)、伊ピサ大学(University of Pisa)らの最新研究によって、ついにその謎が解き明かされたようです。 <中略>
まず、卵黄で粘性が高まったことからも分かるように、顔料の粒子同士の結合が強くなり、より硬い絵具になっています。
これは油絵に特有の、力強い厚塗りで立体感を出す技法の「インパスト画」に最適です。
また通常の油絵具では、塗った後に表面から順番に乾いていくことでシワが生じやすいのですが、卵黄を混ぜるとそれが防がれ、乾燥後のシワが出来にくくなっていました。
そのおかげで画家のイメージ通りの絵を保つことが可能となるのです。
たとえば、レオナルド・ダ・ヴィンチの油彩『カーネーションの聖母』には卵黄が使われておらず、聖母マリアの顔に無数のシワが残ってしまっています。<中略>
さらに、卵黄のタンパク質が顔料粒子の周りに薄い層を形成することで、湿度の高い環境での水分の吸収を予防できることが分かりました。
これにより、高湿度にさらされても絵具を保護しやすくなります。
それだけでなく、卵黄に含まれる抗酸化物質が、酸素と油成分の反応速度を低下させることで、絵の「黄変」を防止する効果もありました。
こちらはイタリア・ルネサンス期の巨匠サンドロ・ボッティチェッリによる『キリストの哀悼』で、人物画には卵黄を混ぜた油絵具が使われています。
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https://nazology.net/archives/124327
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