1:名無しさん




 「現代仮名遣い」の規則は次のようになっている。まず、「ぢ、づ」は書かずに「じ、ず」だけを使う。これが大原則だ。そして例外的に次の二つの場合のみ「ぢ、づ」を書く。すなわち、縮む(ちぢむ)、続く(つづく)のような同音の連呼、と、鼻血(はなぢ)、気付く(きづく)のような2語の連合による連濁。たったこれだけだ。これさえ覚えておけば大きく間違えることはない。だがこの折衷案には落とし穴があった。「世界中」は2語に分解する意識が薄いので「せかいぢゅう」ではなく「せかいじゅう」とされた。よって、人妻は「人の妻」だから「ひとづま」、稲妻は「稲の妻」ではないので「いなずま」と分けられて、結局、混乱は消えなかった。その後、せかいぢゅう、いなづま、なども許容する、と改定されたが、どうにもならない。自分の言語で書き間違えが起こるような場合、大概、文字のほうに問題がある。現行の条件下で四つ仮名の書き分けを徹底させるのは、無理だ。

 ローソンにこういうポスターが貼ってある。「挽きたて淹れたてのコーヒーを、一杯づつお出しします」。一杯ずつ、が正しい。その下に「SARD UNDERGROUND」のチケットの案内が貼ってある。このバンドは『名探偵コナン』のエンディング『少しづつ 少しづつ』を歌っている。少しずつ、が正しい。(作詞はZARDの坂井泉水さん。新仮名で「いずみ」、旧仮名では「いづみ」)。韓国料理のチジミは「外来語の表記」の規則に則り「チジミ」でいいのだが、NHKは特例として「チヂミ」としている。世論調査で8割以上が「チヂミ」を支持したから、だそうだ。外来語の別扱いにも、しょせん無理があった。NHK放送用語委員会が「チヂミ」を認めると決めた平成27年6月26日は、「この字がいいね」と君が言ったから、チヂミ記念日。

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