1:名無しさん




企業経営でも、アートの世界でも、そして政治の世界でも、親(や一族)の七光で名声を得た人物が、あたかも本物のリーダーのように振る舞う例は多い。そして、ぽっちゃりとして人の良さそうな外見の辻は、いかにも「跡継ぎのぼんぼん」に見える。

実際、2020年にサンリオの社長に就任したとき、辻が経営者として成功を収めると予想した人は、筆者を含めほとんどいなかった。サンリオは、カリスマ創業者がいつまでも皇帝のように経営を支配して、破滅の道をたどる企業の典型に見えた。

なにしろ、創業者の辻信太郎が孫に社長の座を譲ったのは92歳の時だ。跡取りに考えていた息子の辻邦彦が61歳で急死したため孫である辻にお鉢が回ってきたわけで、彼が血筋によってトップに就任したのは明らかだった。

「この先どうなる?」

当時、辻は31歳。日本で最年少の上場企業社長だ。もっとも、いきなり社長になったわけではない。父親の死を受け、14年にサンリオに入社すると、まずは経理部に配属された。

「14年といえば過去最高益が出ていた時代。欧米でハローキティが大ヒットして業績は良く、株価も上がっていた」と、辻は振り返る。

だが、投資家から見ると危うい部分もあった。「ブランドは素晴らしかったが、十分活用されておらず、売り上げは伸びていなかった」と、当時CLSA証券でアナリストとしてサンリオ株を扱っていたロラン・アルモスは語る。

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