庶民が「ビッグマック」セットに激怒した…!
米国のマクドナルドでは、ポテトフライとドリンク付きのビッグマックのセットメニューが18ドル(約2838円)まで値上がりして「ぜいたく品」となり、ファストフードなのに手軽に家族で楽しめなくなった――。
そんなニュースが、インフレが高止まりする米国で広く報じられ話題となった。だが、この話は多分に誇張されたものだ。
実は、全米各地でフランチャイズ店舗によりメニューの価格は大きな差がある。話題になったのは、物価が全米平均よりも21.6%も高い東部コネチカット州にあるデリエン市の店舗のもので、特殊なケースであった。
実際には、全米平均のビッグマックのセットメニュー価格は、2024年5月現在で9ドル29セント(約1464円)と、18ドルのおよそ半分だ。しかし、パンデミック前と比較すると、なんと40%以上も値上がりしているのも事実だった。
一方で、単体のビッグマックの価格は2019年に4ドル39セント(約692円)であったものが、現在は5ドル29セント(約834円)と、20.5%しか上昇していないことと比較すると、ファストフードチェーンやフランチャイズ店舗がポテトや飲み物など「必須」のサイドを大幅に値上げすることで、もうけを出している構図が浮かび上がる。
いずれにせよ、多くの客のお目当てであるセットメニューが、新型コロナウイルス流行前の2倍近くに値上がりしていることは間違いない。若干の割引があるアプリによる注文では節約が可能なものの、低所得層を中心に客足が遠のき始めている。
熾烈さを増した「ハンバーガー戦争」
危機感を覚えたマクドナルドでは、6月25日から1ヵ月間限定でマックチキンとマックダブルのいずれかに、チキンマックナゲット(4個)、ポテトフライとドリンクをセットしたメニューを5ドル(約788円)で提供し始めた。
値下げを断行しているのは、マクドナルドだけではない。その「永遠のライバル」であるバーガーキングは、4月のマクドナルドの値下げ発表を受けて素早く動き、マクドナルドよりも早く5ドルの夏季限定セットメニューを提供し始めた。
ワッパージュニア、ベーコンチーズバーガー、チキンジュニアのいずれかにポテトフライとドリンク、さらにチキンナゲット4個をセットにしたものだ。
ただし、ついてくるポテトがSサイズなので、「冗談のつもりか」と、一部顧客からは不評のようだ。
その点、別のバーガーチェーンであるウェンディーズでは、ジュニアベーコンチーズバーガー、クリスピーチキン、ダブルスタックのいずれかにポテトフライとドリンク、さらにチキンナゲット4個をセットにした5ドルのセットメニューで、ポテトをレギュラーサイズで提供。
この差別化は当たっているようで、ネット上では「5ドルのセットメニューでトップに輝くのはウェンディーズだ」との声も見られる。さらにウェンディーズは、ベーコンエッグチーズ・マフィンあるいはソーセージエッグチーズ・マフィンにポテトのハッシュブラウンをつけた朝食セットメニューを3ドルで販売しており、節約志向の顧客の味方を上手く演出している。
「高くなり過ぎたマクドナルド」から客を奪う意図が明確だ。
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https://gendai.media/articles/-/132509