自分の子どもが性犯罪の被害に遭い、その加害者が、自分の夫だったと分かった時のショックは計り知れない。妻としては、子どもを連れて離婚するという選択肢が現実味を帯びてくる局面だ。
とはいえ、夫が一家の経済的な支えとなっている場合、なかなかそれも難しい。別れを選択しない妻も、これまで法廷で見てきた。そしてこの事件でも、妻は夫との別れを選択することなく、共に生きる道を選んだ。住宅ローンのためだった。
(ライター・高橋ユキ)<中略>
犯行時に、何も考えられなくなる被告人であれば、また性欲に支配された時に実の娘が被害に遭うのではないかという気掛かりも生まれる。もちろんそれを考えたであろう妻は、しかし、上申書でこう訴えるのであった。
「夫がしたことは許せないが、家のローンが今年6月から始まり経済的にも大変なので、してしまったことは反省して、父親として夫として経済的に支えていってほしい。刑事処罰は望みません」
3人での住まいとして家を購入したとき、妻はこんな未来を予想していただろうか。被告人には求刑6年が求刑され、懲役5年6月の判決が言い渡された。“刑事処罰を望まない”という妻の上申書について、判決は「それは被害者の心情とは言えない」と一刀両断していた。
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