1:名無しさん


類いまれに酷い本だった。
全体を要約すると、イギリスに移住した著者のご子息が通う中学校での出来事を、当地の社会情勢を絡めて綴るエッセイなのだが、このご子息に対する処遇があまりに暴力的。
このタイトルからして、ご子息がノートに書き留めた言葉を無断で借用(盗用?)しており(p.30-31)、それだけでもどうなんだという話だが、それがご子息に知れたときの対応がまた酷い。

“この原稿のタイトル(中略)を知ったうちの息子が、「人の走り書きを勝手に使うな」「著作権を支払え」とうるさいのだが”(p.146)

とあるように、ご子息からの抗議は、それに正面から答えないかたちでエピソード化されている。
本文ではエンパシーがどうとか語っているが、あなた自身顧みるべきエンパシーは、まずは最も身近な相手に対してでは?
他者との共生や貧富差といった倫理的なイシューを説きながら、それら全体は書くことの暴力という構造に支えられている。このうえなくグロテスクな著作だ。