1:名無しさん




振出とは、茶道の場で干菓子や金平糖といった小さな甘味を入れて客に供するための容器であり、実用性とともに趣を添える役割を担っています。形は小ぶりで愛らしく、陶器や漆器、金属など多彩な素材で作られており、茶会におけるもてなしの一部として客前に出されます。甘味は通常懐紙に載せて供されますが、振出はそれを美しく保ち、必要なときに上品に取り出せるよう工夫された道具です。

その歴史は江戸時代にさかのぼり、保存のきく干菓子を清らかに収めるための容器として発展しました。茶道は一つひとつの所作や道具を通じて季節感やもてなしの心を表現する文化ですが、振出もまた、見た目の美しさと実用性を兼ね備えた道具として、茶会の雰囲気をいっそう引き立ててきました。つまり、振出は単なる菓子入れではなく、茶道における美意識やおもてなしの心を映し出す小さな器なのです。

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