【嘘のような本当の話】
— あたたたたー (@81I6VVboj7h2Bqy) December 30, 2024
20年近く前。私が28歳くらいの時の話です。
高校時代の友人Aから、かなり遅い時間に「今、Bと飲んでいるから来ない?」と電話があり、歌舞伎町の居酒屋にかけつけました。そこには「A」と「Aの彼女」、そして小・中・高で一緒だった親友「B」がいました。Bは泥酔していました→
当時の私は売れないお笑い芸人をしていて、苦しい生活をしていました。ちなみにAもまた25歳まで売れない役者をやっていましたが、その後、SEに転身し独立。月収が100万あるだとか、結婚披露宴ではゴンドラに乗って登場する予定だとか、それには幾らかかるだとか、そういう話をしきりにしていました→
— あたたたたー (@81I6VVboj7h2Bqy) December 30, 2024
話を聞いているうちに私は段々イライラしてきました。こんな話を聞かされるために呼ばれたのかと。その間、Bは泥酔しっぱなしで何度も吐いていました。ひとしきりAとAの彼女が自慢話(のように私には思えた)を終えると「じゃ、俺達は帰るから」と言って、帰っていきました。残された私と泥酔したB。→
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私は、ここでやっと、なぜ私が呼ばれたのかを理解しました。AとAの彼女はBの面倒を見させるために私を呼んだのです。Bは当時、千葉県の館山に住んでいました。時刻は既に0時を過ぎており、当然、館山に帰る終電はありません。しかし、Bは翌日の朝から館山で現場仕事があると言っていました。→
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私はAに対して無性に腹が立ってきました。それで、何度もAに電話をしましたが、全く出る気配がありませんでした。留守電にメッセージを残すも、メールを送信するも、一向に反応がありませんでした。これは、完全にはめられたと思いました。→
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当時の私の住まいは練馬にあり、まだギリギリ終電に間に合いました。しかしBが泥酔していて立つこともできないため、電車に乗って帰ることもできません。放って帰る訳にもいきません。そこで、タクシーを呼んで練馬の私の家に連れていき、朝イチでBを起こして館山に向かわせる、という算段をしました→
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しかし道交法の関係で、タクシーをそのビルの前には呼べないことが分かりました。居酒屋の店員さんに どうしたら良いか相談しました。すると店員さんが大きな台車を用意してくれました。台車の上にBを載せて、タクシーが止まる通りまでBを運んでいって、そこでタクシーを捕まえると良いというのです→
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それで、私は店員さんの手を借りながら、Bをエレベーターの中に運び入れて、1階まで降りました。それでBを大きな台車に載せました。私は店員さんにお礼を言って、1人でBを載せた台車をタクシーの通りまで運んで行きました。Bは仰向きのまま幸せそうな寝顔を浮かべていました→
— あたたたたー (@81I6VVboj7h2Bqy) December 30, 2024
成人男性が歌舞伎町の通りをガラガラと音を立てながら台車で運ばれている姿は滑稽以外の何物でもありません。道行く人の恥ずかしい視線に耐えながらなんとかタクシーの通りに到着しました。しかしタクシーはなかなか止まってくれません。当時のBは浮浪者のような格好で顔グロ、メッシュが入った金髪→
— あたたたたー (@81I6VVboj7h2Bqy) December 30, 2024
腕にタトゥーが入っており大泥酔しています。止まってくれようはずがありません。10分程度待って、やっとタクシーが止まりました。私は何度も「ありがとうございます」と頭を下げBを担いでタクシーに載せました。そして「すみません!台車を返却してきます!」と言って台車を居酒屋に返却しました→
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急いでタクシーまで戻り後部座席に乗り込みました。隣りには泥酔したBが寝ています。運転手さんに行き先を告げると、私の住まいがある練馬に向かってタクシーが走り始めました。運転手さんが言いました。「正直に言うと断ろうと思ったんだよ。ロクなお客さんじゃないなと。こんな泥酔してるしさ」→
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私は一言「すみません」とだけ言いました。すると運転手さんが次のように言いました。「じゃ、なんで乗せたかって言うとさ、あなたの誠実な態度に心を打たれたんだよ。なんて友達思いなんだって。感動しちゃったよ。もしもあなたが横柄な態度をとっていたら絶対に断ってたよ」→
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私は何と返答していいか分からず、ただ困った顔を浮かべていました。
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運「彼(B)の家はどこなの?」
私「館山です」
運「(Bの)仕事は休みなの?」
私「いや、朝から館山で仕事があるそうです」
運「それは大変だ。練馬に行ってたら、朝、間に合わないでしょ」
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私「だと思います。絶対に遅刻できない仕事って言ってました」
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運「あなたは明日、仕事なの?」
私「僕は休みです」
運「そうか。じゃ、こうしよう。館山まで彼(B)を送り届けて、そのあと、あなたを練馬に送り届けるよ」
私「え?いや、いいですいいです!そんなお金無いですよ」
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運「あるだけでいいよ」
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私「いや、いいですよ」
運「だって遅刻したら彼も困るでしょ」
私「困るは困ると思います」
運「彼(B)はいくら持ってるの?」
私「おいB。財布の中、いくら入ってるか見るぞ」
B「むにゃむにゃ」
私「2万円ありました」
運「それでいいよ。一応、彼に聞いてみて」
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私「おいB。2万円で館山に連れていってくれるっていうけど、どうする?」
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B「むにゃむにゃ」
私「連れてってほしいそうです」
運「分かった」
私「ちなみに僕は1万円も持ってないですよ」
運「いや、彼の2万円だけでいいよ。あとはいらないから」
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私「いや、それはいいですよ。払えるだけ払いますよ」
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運「いらない いらない。私はあなたの心意気に感動したんだから」
私「本当にいいんですか?」
運「いいんだよ。本当はこんなことしたら会社に怒られちゃうんだけどね」
私「本当すみません。ありがとうございます」
B「むにゃむにゃ」
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それから、タクシーは館山に向かって走り始めました。車内では色々な話をしました。AやBとの関係性。どういう経緯で終電を逃すことになったのか。早稲田大学に入学するも途中でお笑い芸人の道に進んだこと。同級生は一流企業に就職するなか、売れない日々が続き肩身の狭い思いをしたこと。
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そのせいで招待された結婚式を欠席してしまったこと。
— あたたたたー (@81I6VVboj7h2Bqy) December 30, 2024
事務所を転々としていて、最近、別の事務所に所属したことなど。運転手さんは途中でメーターが回らないように切ってくれました。「どれだけ走行したかは記録に残っちゃうから、会社にバレるとマズイんだけどね」と運転手さんは言っていました→
そうこうしているうちに午前3時半頃に館山に到着。Bを起こして道案内させBの家に到着。Bの財布から2万円を抜き取り運転手さんに払いました。Bは「むにゃむにゃ、○○(私)、ありがとな」と言いながら家に入っていきました。私はBの後ろ姿に向かって「B!仕事、遅刻すんなよ!」と声をかけました→
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今度は、タクシーが館山から練馬へと走り始めました。運転手さんと会話は続きました。
— あたたたたー (@81I6VVboj7h2Bqy) December 30, 2024
運「あなたは本当に人が良いよ。普通さ、ここまで友達の面倒を見る人はいないよ。もう俺、泣けてきちゃうよ」
私「いや、さすがに放っておけないですよ」
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運「でも、あなたを呼んだ友達は、放って帰っちゃった訳でしょ」
— あたたたたー (@81I6VVboj7h2Bqy) December 30, 2024
私「まぁ、そうですね」
このような、とりとめもない会話をしながら、朝の6時半頃にタクシーは練馬の自宅へと到着しました。
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通常であれば合計で15万以上請求されるであろうところを、運転手さんは、私がBの財布から抜き取って支払った2万円以外は受け取ろうとはしませんでした。世の中にはこんなに素敵なタクシー運転手がいるんだと感動しました。→
— あたたたたー (@81I6VVboj7h2Bqy) December 30, 2024
運「お笑いのグループ名は何ていうの?」
— あたたたたー (@81I6VVboj7h2Bqy) December 30, 2024
私「○○○○○○です」
運「覚えておくよ」
私「もしも売れて有名になったら、今日のことTVで絶対に話します!ありがとうございました!」
運「うん。楽しみにしてるよ」
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タクシーの運転手さんとお別れした私は、部屋に入ると泥のように眠りました。
— あたたたたー (@81I6VVboj7h2Bqy) December 30, 2024
昼過ぎに目覚めた私は、Bにメールをしました。
私『仕事、大丈夫だった?』
B『寝坊して休んじまったわ』
私『行ってねーのかよ!笑』
メールなのに、思わず声に出して突っ込んでしまいました。→
あれだけ電話もメールも反応がなかったAからは
— あたたたたー (@81I6VVboj7h2Bqy) December 30, 2024
昼過ぎに『どうした?何かあった?』とメールが来ていましたが、無視をしてしまいました。
その後、何度も電話がかかってきましたが、無視をしてしまいました。
以来、Aとは連絡を取っていません。→
先日、AとBの共通の友人Cと、20年ぶりに会って酒を飲み交わしました。Cが言っていました。「Aって、そういうところがあるよな。俺も裏切られたことがあるよ。ちなみにAは今、シングルファザーらしい。離婚したらしいよ」そうか。あの彼女とは離婚したのか。なんとも言えない気持ちになりました(完)
— あたたたたー (@81I6VVboj7h2Bqy) December 30, 2024
(補足)共通の友人である「C」と、先日、二人きりで飲んだ、ということです。
— あたたたたー (@81I6VVboj7h2Bqy) December 30, 2024
子どもの暴言に苦慮されている方、教室にユーモアを届けたい方、教育に関わる全ての方に有益な放送を心掛けています。もし宜しければお聴きください。https://t.co/GIfp1PBcCs
— あたたたたー (@81I6VVboj7h2Bqy) December 30, 2024
Bが仕事サボったって見て、悲しくなっちゃった…
— もっぴこと秋桜🌗 (@COSMOS_madamisu) December 30, 2024
あたたたたーさんとそのタクシーの運転手さんが報われて欲しい
Aとは縁を切って正解ですね。タクシーの運転手さんとても優しい。そういう人がいると気持ちが助けられますよね☺️
— 音楽クラシックacm (@music_cla) December 31, 2024
長いツリーだったけどこの方は人が良いからこのような縁があったんだろうなと思いました。
— タマ (@GN0Y1Frt1K1kiTu) December 31, 2024
Bが仕事に行けないだろう事は想像通りでした。
それより運転手さんとした話やお互いの優しさを感じられて良かったです。
人間不信にもなったけどたまにこういう話もあるから人生色々ですね💭
Aは後に離婚する人とよろしくやってる中、Bを介抱したあなたとタクシードライバーに拍手
— MiFan (@Atsuhisa90) December 31, 2024
怖い話かと思ったw
— 赤羽隼人 (@ro_shi_nkohyo) December 31, 2024
いつ幽霊らしきもんがでるのかとおもって期待してたのに
仕事休んだBに「行ってねーのかよ!笑」で済ませられるの聖人すぎます
— さら (@1sy5exN1l48147) December 31, 2024
凡人は「まじかよ送ってやったんだぞ今度スタバ奢れコラ」くらい言います