品質問題で揺れるボーイングに関する記事。英文の長文だけども日本での自動車品質問題にも通じる話が盛りだくさん。備忘録を兼ねて要旨を書き起こす。/How Boeing put Wall Street first, safety second ahead of Alaska Air blowout | The Seattle Times https://t.co/CJm4PeSPPJ
— 黄昏の六角穴付きボルト@工作機械とかいろいろ@ダイエット中 (@HexagonScrew) April 9, 2024
GEのカリスマCEOであったジャック・ウェルチを信奉し、株価を重視するボーイングの首脳陣は株主優先、コスト削減、労働者軽視の経営を進めたが、実際この20年間は実際上手くいっていた。(1/n)
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これによって儲けた金は、新型機に投資するよりも、自社株買いや配当金を通じて株主に大量の現金(2010年以降で10兆円!)を供給するのに使った。(2/n)
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首脳陣は多くの部門を外注化、売却し、アビオニクスの開発、部品加工、機体の組立といった重要な能力を切り捨てた。787においては主翼さえも日本に外注した。(黄昏:ボーイング様ありがとうございます)(3/n)
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経験豊富なエンジニアや機械工を消耗品として扱い、高品質の航空機を設計・製造するというボーイングの本質的な使命への潜在的なダメージを無視した。(4/n)
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品質に関する数々の失態を受け、ここに至って首脳陣は間違いを認め、以前ボーイングから切り離された主要サプライヤーであるスピリット・エアロシステムズを買い戻そうとしている。(5/n)
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ボーイングの工場長たちにとって組立ラインを止めることは大罪だった。そのため未完の仕事があってもラインを無理矢理進めてしまった。そして航空機がラインを進むにつれて未完成の仕事が積み重なっていく。ボーイングではこれを「traveled work(黄昏訳:作業出張)」 と呼んでいた。(6/n)
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順番通りに行わないと、この作業はより難しくなり時間もかかる。あまりに多くの「作業出張」が積み重なると混乱を引き起こす。これが品質を大きく低下させた。(7/n)
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だが現場を知らない経営陣にはすべてが順調に進んでいるように見えていた。生産ラインで何が起こっているのか、まったく分かっていなかった。(8/n)
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以前は工場の1、2級マネージャでさえ現場要員から出世し、仕事について深い知識を持っていたが、ストーンサイファー(黄昏:GE出身の元CEO。社内不倫で2年で辞任)が来てからは、そのような地位は学位のあるMBAをもつホワイトカラー人材にシフトした。その彼らもわずか1、2年で異動していった。(9/n)
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飛行機の作り方を知っている人は邪魔者扱いされ、経営陣と交わす言葉は「イエス」だけになっていた。(10/n)
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長年のコストカットによりボーイングの給与はインフレ率やシアトル地域の一般的な給与上昇率に比べて著しく低下しており、中堅エンジニアは10年前まで地域相場の159%を稼げていたのが、今では114%にまで低下している。これ以上の低下は彼らの離職を招く可能性がある。(11/n)
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給与引き上げのコスト増は株価に打撃を与えかねない。それでもボーイングは9月の契約満了時のストライキを回避するために、ブルーカラーの機械工の賃金も大幅に引き上げなければならない。(12/n)
— 黄昏の六角穴付きボルト@工作機械とかいろいろ@ダイエット中 (@HexagonScrew) April 9, 2024
ボーイングの首脳陣は先を見据え、次の新型ジェット機の製造や、航空機の脱炭素化に向けた技術の進歩などボーイングの未来について皆に語り始めなければならない。(13/n)
— 黄昏の六角穴付きボルト@工作機械とかいろいろ@ダイエット中 (@HexagonScrew) April 9, 2024
ボーイング復活のためには2つのアクションが必要。ひとつは本社をシカゴからシアトルに戻すことだ。シアトルはアメリカの航空産業の中心地であり東海岸からボーイングを経営することはできない。(黄昏:2001年に当時の経営陣が移転。さらに2022年には将来アーリントンに移転すると発表)(14/n)
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もう一つはボーイングがピュージェット湾地域(シアトル沿岸地域)の工場で次期新型ジェット機を製造すること。(15/n)
— 黄昏の六角穴付きボルト@工作機械とかいろいろ@ダイエット中 (@HexagonScrew) April 9, 2024
そこで航空機の製造方法を熟知し、何十年もそれを続けてきた労働者たちに、「別の場所に移すつもりはない」と宣言をすべき。(黄昏:長年ボーイングの経営陣は移転をちらつかせて労組と渡り合ってきた)(16/16)
— 黄昏の六角穴付きボルト@工作機械とかいろいろ@ダイエット中 (@HexagonScrew) April 9, 2024
おしまい。
金勘定しかできない連中がデカイ面するとロクな事にならない典型例…
— 抹茶3(MaCH_3)承 (@matsugha) April 10, 2024
彼奴等が利益の為に売り飛ばすのは会社の将来、未来なんだよな… https://t.co/szSahGyh1d
昔から会社を知っていて、地道に技術技能を伝えていた技術者の縦のつながりが消えた事で会社の品質が疎かになったと。経営は目先のお金に向いていて、人を育てて会社を継続させる伝統には向かなかったということかな。昔からの日本式の会社経営の方がボーイングには合ってるかも。 https://t.co/srqbMAHOof
— 矢田 宏樹 (@yada_ynfp) April 9, 2024
「ボーイング経営陣と工場長(設計・製造部隊)」を「トヨタとダイハツ」に置き換えても、ほぼそのままの状況になってるんじゃないかと思った。 https://t.co/KMVDMfqKs3
— Hiroki (@hiro5550) April 10, 2024
翻訳感謝
— 早川 薫@天皇弥栄 (@Kaoru_Hayakawa) April 9, 2024
どこかで聞いた話ですなぁ
ものづくりと株主優先
それを両立できた会社は無いんぢゃまいかと思う話
会社を存続させるためには株主は大切だけど、
株主にとっても、必要以上のリターンを求めることは
結局金のタマゴを生む鶏を殺すことになると
認識してほしいなぁ https://t.co/67IOgHz0Z7
これは日本の産業界全体に言えることではないかと危惧。 https://t.co/pXN8Dm9Lh3
— 右藤也然 (@Narisa_Uto) April 10, 2024
製造(に限らないけど)で、現場と切り離された頭デッカチ経営者が数年単位の短期スパンで「金儲け」するのは、ホントかんたーん。
— Ryoichi @ シリコンバレーの資格マニア🏗️ ⚡️📡☎ (@ryo1kato) April 9, 2024
結局は簡単に数値化できない技術力、現場力という「資産」を切り崩して売ってるだけなんだよなぁ。
あと、ジャックウェルチもストーンサイファーもクソ。 https://t.co/3AdYXH7bHq